ユーミンの目に思わず涙が……「写真展 能登 20240101」の会場で公開収録
写真展を開催することになったきっかけも語られた。今年3月の北陸新幹線県内全線開業にて、小松駅と加賀温泉駅の発車メロディを担当したユーミン。その際、「acacia[アカシア]」を作るきっかけとなった内灘町を訪れると、「すごくショックな光景が広がっていた」という。その帰りの新幹線の中で、「これは身近な問題として後世に記録として残しておくべきだ。伝えていかなければいけない」と思った時に佐藤が頭に浮かんだという。「後で考えると、今まで“普通ではない風景”を撮って来ていらっしゃるので、アクセスの悪い状態になっているところに行くフットワークやフィジカルもあるのでピッタリだと思った」と明かした。 それを快諾し、連絡をもらってすぐに内灘を訪れた佐藤。最初に足を踏み入れて「ニュースで見てはいましたし、海外ですごい光景を見て来てはいましたが、それでも見たことのない景色が広がっていた。廃墟やゴーストタウンとは全く違う。人の暮らしの営みがねじれて壊れているような……」と壮絶な光景に驚いたという。その後も能登や珠洲などの被災地を訪れ、撮影を繰り返した佐藤。被災地の現状を聞かれると、「復興は進んで行っているけれど、珠洲では家が倒壊したままで、9月に行った時にもまだ撤去されずに残っていた。“まだこれしか進んでいない”と率直に思ってしまう」と報道されない実情を打ち明けた。 この写真展は、そんな佐藤が撮影した1万枚の中から厳選された120点を展示。佐藤が撮影した景色を追体験できるような形で展示されている。改めて撮影を振り返り、「撮影する前はいつも“良い写真を撮ろう”と思うけれど、今回は何が“良い写真”なのかわからなかった。現地に行ってみて、その場の圧に押されてただ撮るしかなかった」とのこと。 続いて、そんな震災を実際に体験したMRO北陸放送パーソナリティの上坂典子が登場。佐藤が撮った写真を見て、「地震から10か月あまり、豪雨から2か月が経とうとしています。過去の写真ではありますが、今見ても何も変わっていない被災地がたくさんある。“今の写真展”でもあるなと思いました」と印象を語った上坂。それから今年9月に起こった奥能登の豪雨への話へと及び、ユーミンも「お正月(の震災)と同様にショックを受けました」と明かす。