日本経済復活に「余計なことはするな」…“為替介入の司令塔”神田前財務官に直撃!【独自インタビュー】
■“神頼み”でなく「危機感」を…日本経済“今後のカギ”は「生産性の向上」
◇民間企業などを取材していると、日本の価値が下がっていると述べる方もいる。つまり、円の価値が下がってきているという現象も指摘されている。自らの懇談会では「国際収支」を切り口に、日本経済の課題を洗い出されたが、日本の国力を今後も担保していくためには、どんなことが必要だと考えるか? ーーー今おっしゃった「円の価値」が下がってきているっていうご指摘はあります。重要なのは、足元の為替相場っていうのは、かなり短期的な投機に基づくもので、大きな中長期的な構造の議論とは全く次元の違うものだと思います。 ただ、ここを切り離して、あくまでも中長期的な構造の議論としては、やはり円の実力ともいわれる「実質実効為替レート」、この長期的な推移というのは非常にわかりやすいと思っています。 このレートっていうのは、1995年に最高値=193.97になって、足元では68.36、実に65%減価しちゃった。過去最低の水準、要は日本の円の価値が、3分の1になっちゃったみたいな話なんですよね。 一般に、実質実効ベースで見た為替レートっていうのは、輸出企業といったものの生産性が、他国と比べて、相対的に低いと減価する傾向にあることが知られています。そうすると、日本はやはり労働市場の流動化とか、新陳代謝の促進等を通じて、何よりもやっぱり生産性を向上しなければいけないということになります。 ご指摘いただきました懇談会では、くどいようですが、足元の為替相場の動向を議論するものではありませんでしたけれども、国際収支のレンズを通して「日本経済の課題」を希望する中で、改革の必要性、危機感について多くのご指摘をいただきました。 ここで提言された改革は、実は、多くのものは長く指摘されてきたもので、しかし実施されていない、あるいは実施が遅れてきたものです。 しかしその分、ある意味、伸びしろが大きいっていうのが私の信念で、改革を着実に実施して、市場経済のダイナミズムを強化することで、競争力のある日本経済を取り戻すことは十分に可能です。 なので、日本の現状について健全な危機感、何か“神頼み”なんかじゃなくて、健全な危機感を持って、前向きに改革を実施していくことが、何よりも重要なんだと考えております。