天下り先有力候補 大学教員の採用実態「公募」でも実際は決定済み?
文部科学省の組織的な天下りのあっせん行為が問題になっている。一部報道では、2008年末から昨年9月末までの間に、文部科学省の管理職経験者の延べ100人以上が大学などの教育機関で役職を得ていたと言われている。今回、早稲田大学に天下りした官僚が就いていた教授職の年収は1400万円とも言われており、厚遇で社会的地位も高い大学教授の職は、多くの人の憧れの職業であることは間違いないだろう。大学教授の採用は実際どのように行われているのだろうか。
表向きは公募でも実態は「決まっている場合もある」
私立大学や、採用に携わったことのある私大教員への取材などによると、定年退職や新学部設置などで教員の採用が必要になると、大学の学部などの各組織内で選考委員会や人事委員会が設置される。3人以上~数人の教授らで作られるこの委員会で、採用を公募で行うか、「コネ」で行うか、好ましい年齢、分野や教育科目、教授なのか准教授や専任講師といったポストで採用するか、などを決めていく。 コネの場合は本人に打診し、履歴書などの提出を受ける。その後面接などを行い、委員会内で合格の合意ができれば、教授会などの上位の組織で投票が行われるなどし、最終的には大学評議会や理事会などで採用が決定する。早稲田大学の天下りの例はまさにこの流れに当てはまる。大学側は記者会見で、「委員会の前に元高等教育局長と事前に懇談した」と話していた。 公募の場合、大学のホームページや研究者向け求人サイトなどで広く募集する場合のほか、学部内や大学内でのみ募集する場合がある。ただ、公募でやるからと言って候補者が最初からいない、とは限らない。 都内の私立大学で非常勤講師を務める男性によると「教員になりたかったら公募があるが、本当に一から候補者を決めるガチ公募と実質内定者がいるコネ公募がある。コネ公募の場合は目当ての人の経歴に沿った募集を出している」と打ち明けられたという。 採用経験のある別の私立大学の教授も「公募といってもある程度候補者が決まっていることの方が多い。今時の応募者の書類はみな立派なので良い人材が見分けづらい。やはり一人は知っている人が応募してくれると安心感がある」などと話し、「昔は殆ど縁故で、今は公募も多くなっているけれど、公募になってないのが実態」と説明した。