WEC、来季レース数は8で“据え置き”。複数サーキットが誘致に興味も、まずは基盤づくりが課題に?
世界耐久選手権(WEC)のプロモーターである西フランス自動車クラブ(ACO)は、COVID-19の影響による一時縮小から従来の全8戦に戻った現在のカレンダーから、2025年に向けてレース数を拡大するつもりはないと明かした。そして、少なくとも一時的にレース数に上限を設けることの重要性を強調した。 【動画】キャデラックが大クラッシュ! 赤旗の原因に|2024年WECスパ6時間 ACOのピエール・フィヨン会長はmotorsport.comの取材に対して次のように語った。 「レースを追加することは、コストの問題から現在の計画にはない」 「最も重要なのは、WECが成長していても、コストに注意することだ」 2022年に8戦のカレンダーへ戻すというロードマップをWECのフレデリック・ルキアンCEOが明かした際、WECが2016年と2017年のようなシリーズ9戦に戻り、さらに10戦までカレンダーを拡大する可能性が示唆されていた。 現時点でカレンダー拡大の計画はないものの、フィヨン会長はWECのレース開催に対するサーキットやプロモーターの関心の高さを改めて強調。2012年から2019/20年シーズンまでカレンダーに組み込まれていたイギリス戦について、シルバーストンが開催に興味を持っていることに触れつつ「サーキットからのレースに対する需要は高い」と明かした。 2025年のWECカレンダーは、来月開催されるル・マン24時間レースの週に、ACO恒例の記者会見で明らかになるはずだ。 今季は、モンツァがピットやパドック設備の大幅な改修のため、イモラでWECのレースが開催された。ただ2025年からはモンツァが復帰し、カレンダーの大半は2024年と変わらないと考えられている。 そのため、ロジャー・ペンスキーがインディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースでWECを開催することに興味を示しているものの、少なくとも2025年はサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)がWECアメリカ戦の開催地となるだろう。 ポルシェワークスとしてWECに参戦するペンスキーは3月の時点で、スケジュール挑戦の難しさから、来年はその野望が実現することはないとの考えを語っていた。 カレンダーを8戦に維持することは各メーカーからの支持を得ている。 BMW Mモータースポーツのアンドレアス・ルース主任はmotorsport.comに対して次のように語った。 「我々はスポーツカーレースの新時代の幕開けを迎えていて、まずはそれが機能し、持続可能であるかどうかを見る必要がある。次のレースのことを考えるのはその後かもしれない」 「今の私に言わせれば、8戦というのは良いことで、来年も維持すべきだと思っている」 またポルシェ・モータースポーツのトーマス・ローデンバッハ代表も同様の見解を示し、まず優先すべきは「マーケティング、知名度、ファン層」を増やすことだと提案し、次のように語った。 「それからレース数を増やせば良いと思う。でも現時点では、慎重であるべきだ」
Gary Watkins
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