「イライラが和らぐ」とドライバーも支持。IMSA、GTDプロ/GTDをめぐるルール変更を発表
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTカテゴリーは、『GTDプロ』と『GTD』というふたつのクラスで構成されているが、このほどIMSAは、2025年のルール変更を発表。個別の予選セッション導入やフルコースコーション中のクラス分割など、いくつかの新たな要素がもたらされることが判明した。 【写真】“色”で見分けがつく、GTDプロ車両とGTD車両 同じバランス・オブ・パフォーマンス(BoP、性能調整)とミシュラン・パイロット・スポーツ・プロタイヤを使用する予定の2クラスだが、予選とレースの手順では、今後はより個別に扱われるようになる。 予選はクラス別に15分間のセッションが行われ、そのタイムに関係なく、すべてのGTDプロ車両がGTD車両よりも前方グリッドからレースをスタートする。これは、GTPとLMP2カテゴリー間で施行されているものと同じ形式だ。 さらにIMSAは、イエローコーション中のクラス分割を改訂することで、レース再開時に車両をカテゴリー順に並べることを目指す。 この変更は、GTDプロとGTD、双方のドライバーから支持されている。 「IMSAは正しい方向に一歩前進した」と、コルベット・レーシング・バイ・プラット・ミラー・モータースポーツのドライバー、ニッキー・キャツバーグは述べている。 「GTDをひとつの大きなクラスにすれば誰もが楽しめるだろうと彼らは考えていたと思うが、実際は逆だったようだね」 「みんな自分のクラスの人とレースをしたいのであって、自分のクラス以外の人とはあまり関わりたくないものだ」 「これまでのレースのやり方では、僕らは常にお互いの邪魔になり、それによってみんながイライラしていた」 「彼らがこの方向に進んでくれたことを嬉しく思うし、これが正しい方向だと思うので、次のシーズンに向けて新たなエネルギーが湧いてくると思う」 「ものごとはGTLM時代の状態に戻るだろう。そうすれば、少しはイライラが和らぐと思う」 GTDに出場するインセプション・レーシングのドライバー、オリー・ミルロイも、改訂されたフォーマットを支持すると表明した。 「僕らにとって、これは良いことだ」とミルロイ。 「なぜなら僕らは通常、ブロンズのブレンダン(・イリーベ)が予選を担当するが、周りにはシルバードライバーのクルマもいる。だから、グリッドの先頭にいる連中を助けないということになるので、僕らにとっては良いことだ」 「僕らは満足しているし、理にかなっていると思う。GTDとGTDプロが互いのレースに干渉する必要はないと思う。本当に、(今回の変更の)マイナス面は見当たらない」 ■レクサスのエースは「戦略が少し変わる」と主張 フェラーリGTDのドライバー、マニー・フランコはこう付け加えた。 「彼らがそれ(イエローの際の手順)を素早く実行できるのだったら、僕はあまり気にしない。再スタートの時には『誰が前にいる?』『後は誰だ?』と尋ねなきゃいけないときもあるから、その方がいいと思う」 「おそらく、後ろにプロがいそうなときは『誰が後ろにいる?』と聞くだろう。直接レースしているわけではないので、彼らにパスさせるのはちょっとやっかいだし、ファーストドライバーの僕や、セドリック(・スビラッツォーリ)のようなセカンドドライバーにとっても意味がない」 「僕らの仕事は、クルマを自チームのプロに渡すことだけだ。だから、すぐに戦わなければならない相手とだけ戦えるようにできれば、僕にとっては素晴らしい(ルール変更だ)と思う。なぜなら、そんなことを考える必要すらないからだ」 「少なくとも、GTPが再び追いついて来るまでの3、4周は、それからまた考えることができる。でも、彼らがそれ(イエローの際の手順)を素早く実行できるのなら、僕にとっては良いアイデアだ」 一方、バッサー・サリバンのレクサスGTDプロクラスのエース、カイル・カークウッドは、GTDプロカーが密接することで「ミスの余地が少なくなる」と考えている。 「僕らはこの変更に満足していると思う」と彼は語った。 「自分と同じくらい速い他のクルマとの競争ではないので、ミスを犯す余地が少なくなるだけだ。彼ら(別クラス)と競っているわけではないからね」 「ある意味では、戦略が少し変わる。これが最大の疑問点だ。なぜなら、フレッシュタイヤに交換したい場合やイエローフラッグ(の恩恵)を受けたい場合にピットストップをしても、それほど大きなデメリットにはならない。ライバルに比べて順位が下がることは少ないからだ」 「予選においては、ポジティブだと思う。特に狭いトラックではね。クラス分けは戦略の面で少し面白くなるだろうが、全体的にはプラスになると思う」 「IMSAが問題を理解し、皆が望んでいると思われる変更を迅速に行ったことを嬉しく思う」 [オートスポーツweb 2024年11月27日]