少子化対策「2030年までがラストチャンス」岸田首相会見6月13日(全文)※冒頭発言のみ
社会全体の構造や意識を変える
次に第2の基本理念、社会全体の構造や意識を変えることに関して具体策を申し上げます。 これまでも申し上げているように、少子化にはわが国のこれまでの社会構造や、人々の意識に根ざした要因が関わっています。個々の政策の強化はもちろんですが、個々の政策を生かすためにも社会を変えることが必要です。 企業においても職場の文化、雰囲気を抜本的に変え、男女ともに希望通り気兼ねなく育休が取れるようにしていく必要があります。時間はありません。職場が思い切って変わっていくように育児取得率目標を大幅に引き上げて、2030年には85%の男性が育休を取得することを目標とし、育休が当たり前になるようにいたします。 各企業の取り組みは、有価証券報告書などを通じて見える化します。中小企業のご負担には十分に配慮し、育休を取った職員に代わる応援手当など助成措置を大幅に拡充し、育休取得に熱心な企業ほど多く支援がいくように傾斜をつけた仕組みにいたします。 こうした職場文化の変革とセットで育児休業制度を抜本的に拡充いたします。利用者の方々の声を踏まえてキャリア形成との両立を可能にし、多様な働き方に対応した自由度の高い制度へと強化いたします。 具体的には、時短勤務やテレワークなど多様な働き方を選べる環境を整備して、子どもと過ごせる時間を作れるようにするとともに、育児期間中に完全に休業した場合だけでなく、時短勤務を選んだ場合にも給付をもらえるようにいたします。
すべてのこども・子育て世帯を切れ目なく支援
また、産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取り10割相当に引き上げます。これらにより、夫婦で育児・家事を分担し、キャリア形成や所得の減少への影響を少なくできるようにします。 これらの拡充策によって、育児休業給付に関連する予算額は2倍に増加します。支援策の内容は世界トップレベルです。ぜひ、育児休業給付を取りやすい職場作り、働き方改革を進め、子どもと過ごせる時間を作っていただきたいと願っています。 3月の記者会見でも申し上げましたが、日本の社会は子育てに必ずしも温かくないと言われます。社会の意識を改革し、社会全体で子育て世帯を応援する社会を皆さんとともに作っていきたいと思っています。 その先駆けとして、新宿御苑や科学博物館などの国の施設における専用レーン、公共交通機関等におけるベビーカー使用者のためのフリースペースといった取り組みから始め、こども・子育てに優しい社会作りのための意識改革を広げていきます。 このように職場、そして社会全体の意識と構造を変える。これを国民運動として展開していきます。 最後に第3の基本理念、すべてのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援することに関する支援策をご紹介します。 これまでも保育所の整備、幼児教育、保育の無償化など、こども・子育て政策を強化してきました。しかし、この10年間で取り組むべき政策はさらに多様に変化してきています。親の就業形態に関わらず、どのような家庭状況にあっても分け隔てなく、ライフステージに沿って切れ目なく支援を行うことが必要です。 こうした観点から、これまで支援が比較的手薄だった妊娠・出産時から、0歳から2歳の支援を強化していきます。この時期の子育て家庭に対して10万円の経済的支援と合わせて、様々な困難、悩みに応えられる伴走型支援を強化していきます。 また、これまでの保育所のコンセプトを変え、働いているかどうかを問わず時間単位で柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度」を創設いたします。すでに先駆的に取り組まれている松戸市の「ほっとるーむ八柱」を先日訪問しました。「父親同士のつながりのきっかけとなった」、「産後のつらい時期に専門スタッフのサポートが得られた」など、様々な声を聞かせていただきました。