<仕事への批判>を<自分への非難>と捉えて気落ちしていませんか?精神分析医「自己肯定感が低い人ほど誤った認識を持ちやすい」
厚生労働省が公開している「患者調査」によると、精神疾患を持つ外来患者数は増加傾向にあるそう。そのようななか、「悩みが増えた時こそ、ネガティブな思考を生み出す原因を探ることが重要」と語るのは、難病・パーキンソン病と闘う韓国の精神分析医キム・ヘナム先生。今回は、キム先生のベストセラー『「大人」を解放する30歳からの心理学』から「批判の捉え方」を紹介します。 【書影】パーキンソン病の精神分析医が教える、感情の取り扱い説明書。キム・ヘナム・渡辺麻土香『「大人」を解放する30歳からの心理学』 * * * * * * * ◆仕事への批判を、自分自身への非難と捉えるべからず フランスの作家ラ・ロシュフコーは、「自分を欺く称賛よりも自分に役立つ叱責を受けたいと願うほどに賢明な人はほとんどいない」(『箴言集』武藤剛史訳、講談社)と言った。 いくら合理的で論理的なふりをしていても、人間はそれだけ称賛が好きなのであり、批判や非難には弱いのだ。 そのためどんなに的を射た指摘でも、批判されれば反射的に拒絶してしまう。 批判を受け入れるためには自らの過ちを認めることが必要なわけだが、その勇気を出すどころか、プライドが傷つき居たたまれなくなって、どこかに身を隠したくなるのが人間の本能である。 しかし、そんな中でもとりわけ批判に脆弱(ぜいじゃく)な人というのがいる。 彼らは仕事への批判を、自分への非難と捉えて憤り気落ちする。 その上、任された仕事で失敗し業務に支障が出ていても、早急な事態の収拾に努めるどころか、「批判を受けた」という事実自体に打ちひしがれる。 自分が行った「行為」と「自分自身」を切り離して考えられないのだ。
◆自己卑下 彼らは人から受けた批判を、すべて自分への攻撃や拒絶と捉えてしまうため、人の批判に屈辱を覚え、委縮し自己卑下に陥る。 特に、自己肯定感が低く自分の働きに懐疑的な人ほど、「批判=傷つけるもの」という認識を持ちやすい。 もっと優しい言い方もあっただろうに、批判的な言い方をしたのは自分を嫌っているからだと決めつけてしまうのだ。 だが会社というのはお互いに仕事をするために集まっている場所であり、親睦を深めるための場所ではない。 特に仕事の成否に関わる場面では、意見の対立も起こるものだ。その際、自分の意見のほうが正しいと思ったら、相手の意見は否定せざるを得ない。 要するに、仕事に対する批判は相手への感情とは無関係なのである。 したがって、しばらく気分が悪いのはしかたがないとしても、批判をいつまでも引きずってはいけない。 あなたがするべきことは迅速に批判を受け入れて、同じ失敗をくり返さないように努め、成長した姿を見せることだ。
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