鉄分とカルシウムが不足してる

一生飲み続ける薬が増えていく

　運動し始めると気になるのが、栄養素の消化吸収です。そもそも胃全摘すると、いろんな不具合が発生します。多くの胃全摘者は、鉄分やカルシウム、ビタミンB12などが不足してくるそうです。調べてみると医学的な文献やがん専門サイトに情報が掲載されているので、詳しくはそちらをご参照いただきたいのですが、胃って食べ物の消化だけじゃなく、吸収にも貢献していたことにわたしは驚きました。 　そしてわたしの検査結果にも、すでにそれらが現れ始めています。血液検査では貧血が確認できたり、骨密度の低下だったり、ビタミンB12の数値低下が見られたり。そのためここ最近、鉄剤や腸管からのカルシウム吸収を促進させるビタミンD製剤が処方され始めました。これらは一生飲み続けるものになりそうです。また術後間もなくから、定期的にビタミンB12も注射しています。この注射は貧血や末梢（まっしょう）神経障害などを避けるために打つもので、生涯接種が必要だそう。

　ここで少しスイミングの話に戻りますと、この先もっと速く泳ごうとした時に、筋力アップを考えたくなるでしょう。筋肉をつけるために欠かせない栄養素は、タンパク質です。ですが、胃全摘者はタンパク質を効率良く吸収することもできないみたい。こんなところにも落とし穴があるなんて！ 　なかなかスムーズに運びませんが、スポーツジムのトレーナーや主治医に相談しつつ、より良い方法を検討していきます。現状を嘆いても仕方ありませんから、長年抱えた未練をファイヤーさせ、前に進むのみ！

気力を保ち、楽しく生き抜く

今年はイチゴ狩りに行けた！（宜野座村バムセファームにて）

　スキルス胃がんの手術と治療を受け、わたしの死生観が大きく変わりました。この1年弱は、やりたいことがあっても叶えられず、先延ばしにせざるを得ませんでした。ですが、現在はだいぶ活発に動けるようになっています。 　こうなると、やりたいことに対して後回しにするのではなく、 　「今のうちに行っておこう」 　「動けるうちに連れていこう」 　という方針になっていきました。 　人間というものは強欲なもので、やりたいことが山ほどありますから、お財布や優先順位を考えて、少しずつチャレンジしていこうかなと思っています。そのためにも鉄剤やビタミンDの錠剤は胃無しのわたしには必要で、できるだけ健康に生きるための投資だと考えるようになりました。 　資産はとても大事です。息子のため、また、わたしが抱えてきた未練をファイヤーさせることも、経験という資産であり財産です。お金は大事だけれど、あの世に持っていけるのはウチカビだけ。ならば、生きているうちにいろんな経験を積み、やりたいことを叶え、人生の満足度を高めたほうが幸せかもなぁ…と最近は考えています。