なぜ伊藤美誠は卓球女子シングルス初の五輪メダリストになれたのか…世界の常識を覆す「リスク承知のスマッシュ系フラットボール」
女子シングルスの歴史をさかのぼれば、ロンドン五輪で石川佳純(全農)が、リオデジャネイロ五輪では福原愛さんがともに準決勝、3位決定戦と立て続けに敗れている。東京五輪でも石川が準々決勝でモンユに1-4で逆転負けを喫したばかりだった。 その石川をはじめとするチームメイトたちへ「負けた後もたくさん励ましてもらって、気持ちは早く切り替えることはできたんですけど」と感謝した伊藤は、こんな言葉を紡いでいる。 「いまでも準決勝の悔しさと、自分が上手くいかなかった気持ちがちょっと残っています」 悔しさがあるからこそもっと、もっと成長できる。中国ペアを倒して金メダルを手にした混合ダブルスと、歴史をちょっとだけ動かした女子シングルスで戦いは終わらない。石川、同じ2000年生まれの平野美宇(日本生命)とともに臨む、8月1日から始まる女子団体戦で中国を越えて、頂点を目指していく戦いでもエースの仕事が伊藤を待っている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)