回転寿司バトルは絶品グルメ化へ!大手に挑む地方からの新勢力
鳥貴族は大幅値上げの成功?~外食の命運を握る原料高
横川が76歳で開業、現在39店舗を展開する「高倉町珈琲」。毎週開かれる商品開発会議では、イベリコ豚のグリルプレートに、客目線にこだわる横川の厳しい指摘が飛ぶ。おいしいものをお値打ち価格で出したい。しかし今、外食を襲うのは厳しい原材料の高騰だ。 「平均20%ぐらい上がっています。原料が上がった物をいつ売価に転嫁するか。時期も早くやると評判を悪くする」(横川) 2023年1月、「マクドナルド」は8割の商品の値上げに踏み切った。長年、100円を守り続けてきたコーヒーも120円になった。 「付加価値をつけることでお客様にこの価格でも納得いただけるのではないかと」(「日本マクドナルド」ナショナルマーケティング部・亀井理華部長) 一方、安さが生命線の「サイゼリヤ」は「非常に厳しい。ただ値段は上げない」(松谷秀治社長)と言う。値上げで客離れが起きないか、ギリギリの攻防が続いている。 「この30年間、値下げをして生きてきた。“値上げ技術”を持っていない。それが今の外食経営者の最大の問題です」(横川) 良い店があると聞けば飛んでいき、膨大な数の外食企業を調査し続けてきた横川。訪れたのは、マークし続けてきたという居酒屋チェーン「鳥貴族」渋谷宇田川町店だ。 全国に630店を構える焼き鳥がメインの居酒屋チェーン「鳥貴族」。大きいサイズが自慢の「もも貴族焼」は柔らかい国産鶏に特製の甘ダレがからむ名物だ。横川は「ネギが柔らかい」となぜかネギの品質を絶賛し始めた。 「1年中柔らかいネギが提供できるかが決め手になると思います。『うまい』は肉だけではダメ。コロナ前に比べて100%を超えている店は日本の外食で10社ぐらいしかない。その中の一つが『鳥貴族』。商品力があるんです」(横川) 実際、「鳥貴族」はコロナが明けた今、競合他社が羨むほどの好調ぶりだ。何よりも業界を驚かせているのが全品均一料金の360円。かつては税抜きで280円均一が売りだった。その激安価格から大幅に値上げしたにもかかわらず、客離れが全く起きていないのだ。 「品質を落とすよりは値段を上げることでお客に理解を求めたら、お客さんは『それでいいよ』と言った。だから売れている。お客さんとの価値からくる信頼関係がある」(横川)