紫式部や源義経も訪れた? 梅雨時でも歩きやすい日本の原風景「藍那地区」での里山ハイキング
神戸と言えば、港町や異人館など、ハイカラでお洒落な街というイメージをもつ人が多いのですが、藍那地区には、日本の原風景とも言えるような、のどかな里山風景が今なお残されています。 【写真】日本の原風景に触れる「あいな里山公園ハイク」を見る(全14枚) その貴重な里地里山環境を守り、都市生活しか知らない人たちも気軽に里山体験ができる「国営明石海峡公園神戸地区(あいな里山公園)」もあります。 あいな里山公園の園内だけでも、里山ハイキングが充分楽しめるほどの広さがあるのですが、藍那地区にはいろいろな歴史が秘められていて、歴史スポットの探訪もまた楽し。今回は、源平合戦のときに源義経が通ったとされる「鵯越(ひよどりごえ)」を辿ってみます。
のどかなローカル鉄道・神戸電鉄「藍那」駅
起点となるのが、神戸電鉄、通称神鉄(しんてつ)藍那(あいな)駅。新開地から三木市や小野市方面へつながる「粟生線」の駅ですが、ひとつ手前の西鈴蘭台駅をすぎると、住宅街から一気に農村風景となります。 初めてこの駅に降り立った人に、「ここってじつは神戸市内なんですよ」というと、一様に驚いた顔をします。無人駅なのですが、ほのぼのとした駅員さんの人形が出迎えてくれます。 駅前を右側に数歩進んだあたりの車道の向かい側には、「七本卒塔婆」と呼ばれている石の卒塔婆と、宝塔が並んでいます。誰が何のために建立したのかは謎だそうで、南北朝の頃のものではないかと推測されているそうです。 線路を渡ったところには、古びた石塔「宝篋印塔(ほうきょういんとう)」が佇んでいます。 地元では、昔から紫式部の墓と伝えられてきたとか。しかしながら、永和二年(1376年)の銘があり、紫式部が生きた時代とは300年以上の開きがあるそうです。紫式部はこの地を訪れたことがあるんでしょうか。 集落の中を通り抜けて坂道を登っていくと、道端にたくさんの石仏などが祀られています。木立に囲まれ、緑陰が心地よい静かな道が続きます。 この付近は、古くから人々の往来があったようで、おそらくこの道も昔の街道だったと思われます。のどかな里山風景に心癒されます。