なぜ中日は打てないのか…惜敗巨人戦の平田に象徴される”迷走”
「まるで攻略の意図が見えなかった。その典型が7回の平田の打席。外、外と続けて変化球で攻められ、まったく反応を見せなかった。ボール2となり、ストレート狙いなのか、と見ていたが、3球目のど真ん中のストレートを見送り、さらに4球目の甘くきたストレートを見送ってカウントが2-2となり、最後はカーブを振って三振した。これではチームの士気が下がる。ストレートが中心のサンチェスの攻略は、内か外かのコースに絞るしかない。実際、ほとんどサンチェスの配球は外中心だった。どんどん踏み込むべきだが、平田には工夫の跡がなかった。外のボールを遠く感じているのであれば、ベース寄りに立つ必要もあった。これは5人並べた右打者全般に言えること。チーム全体で何かをするとは、そういうことだろう。だが、外中心の配球に対して、それを狙って踏み込み振る打者がいなかった」 7回二死で一発を狙っていい打席で平田の三振はあまりに不甲斐なかった。 ネット上では、平田に対して「2軍に行くべき」「酷い」「ストライクを2球見逃してあんなクソボールを大振りするのは1億円プレイヤーのやることじゃない」などの批判の声が殺到した。不振打線の象徴としてつるし上げられても仕方がないだろう。 その裏、勝ち星のない大野は1球に泣いた。二死を取ってから廣岡に逆方向のライトスタンドに勝ち越しの移籍初アーチを放り込まれた。 カウント1-2から外に浮いたストレートである。 大野本人も「僕がありえないミスをして負けてしまった」と配球を悔いたが、高代氏も「繊細さを欠いた配球」と指摘した。 「大野は立ち上がりには力んで得意のツーシームも落ちていなかったが、2、3回から力を抜きストレートを8分程度に抑えることでツーシームも変化し始めた。昨年のいい時期の大野に近い状態にまでうまく立ち直っていた。廣岡は、必死で食らいつくというバッティング。細心の注意を払って外にツーシームでよかった。その前のツーシームに反応していなかった。外のストレートを選び、しかも、甘目にコントロールミスをしてしまった1球は、下位打線に対しての繊細さを欠いた配球に見えた」 では、巨人が万全の野球をしたかと言えばそうではない。 2回、先頭の石川が二塁打で出塁したが、7番打者の廣岡に強攻させて三塁ゴロに倒れて三塁に走者を送ることができなかった。続く増田は二塁ゴロ。もしバントで送っていればノーヒットで勝ち越し点をスコアボードに刻むことができた場面だった。丸、ウィーラーを欠き、調子が上がらない打線に加えて、相手は昨年の沢村賞投手の大野である。1点勝負の試合で、原監督もひとつ手を打ち損ねたのだが、中日は、それ以上に後手を踏んだ。