日本人は集団主義? コロナ禍に考えるコミュニケーションの力
国家意思の機能不全とコミュニケーション
12月8日の真珠湾攻撃80年を期してのBSテレビ番組で、井上寿一学習院大学教授が「日本の国家意思の機能不全状態が真珠湾攻撃につながった」と述べたことには、賛同せざるをえなかった。単に軍部の独走では片づけられないのだ。 一方、岸田新内閣初の臨時国会では、子育て世帯への給付金10万円が現金かクーポン券かということと、国会議員の文通費の日割りと使途公開についてが、与野党の主たる論戦であった。それが現在のこの国の最重要課題なのだろうかと首をひねった。 台湾有事は日本有事という元総理の発言、敵基地攻撃能力に大金を投じようとする、他国が利上げしているのに日銀は超低金利のまま動けない、未曾有の財政赤字とバラマキ予算、一人あたりGDPは韓国に抜かれる、そして日本は凋落の一途と、大問題だらけではないか。そしてオミクロン株が迫っている。 国家意思の機能不全は今もつづいているのだ。 これにも先述の「意味」と「空気」、「主張」と「同調」の問題が作用しているのかもしれない。言語とコミュニケーションは人間にとって命にかかわるほどの重大事である。コロナ禍はそのあるべき姿を考え直す機会でもあり、日本という国の国際関係における意思表明の重要さと微妙さに心を致す機会でもあったのだが、この国会はあまりにも島国であった。