都内の公立小中学校で「上履き廃止」の動き、いったいなぜ? 全国では「土足で教室に入るのが当たり前」の地域も
「港区の地域性が大きく関係しています。港区では1校当たりの土地が狭小で敷地の面積が狭く、十分な広さの昇降口を確保しづらいというのが大きな理由です。じつは下駄箱はかなりの面積を取ります。それらをなくすことで、昇降口が明るく広くなって、オープンスペースとして有効活用できます。あとはグラウンドの人工芝化が進んだことも影響しています。大使館もあって羽田からも近く、国際化が進んでいる地域の特性も理由の一つです。そのうえ、港区は通学路も整備されていてとてもきれいです。こうしたことから、改めて上履きに履き替える必要性がなくなっていったという状況です」と港区教育委員会の担当者は話します。 長靴や濡れた靴の場合、昇降口のマットで対応するほか、気になる児童生徒は替えの靴を持って来るか、学校のロッカーに“置き靴”をするなどして個々に工夫しているそうです。 ■神戸市では土足で教室に入るのが当たり前 上履きナシが昔から当たり前となっているのが神戸市です。神戸市のほとんどの学校では、土足のまま教室に上がります。神戸市教育委員会の担当者によると、「市外から転居してきた人は衝撃を受けるようですが、神戸市で育った人にとってはむしろ土足で教室へ入ることの方が当たり前」だそうで、市内全体の8割を超える248校中203校が上履きナシの一足制(2024年11月現在)です。 独自の習慣が続いている理由は明確ではないそうですが、「山間部が近く、平地を確保しにくいので昇降口が設けられなかったことと、(室内も外履きで過ごす)外国文化が根付いていたことが影響していると言われています」と担当者は話します。特に不便を感じることはないそうです。 ■神戸では、上履きナシは減少傾向? 土足で汚れる床を掃除しやすくするため、神戸市内の学校では独自の清掃を続けています。「油引き」という作業です。教室の床に油を引いて乾かし、土ぼこりを掃きやすくします。ところがこの油引き作業が教員の負担になっているケースもあるそうです。