なぜ東京五輪女子マラソン“最強の補欠”松田瑞生は名古屋で独走Vの後に号泣したのか
マラソン練習では1か月間で40走を2回実施。最初の40km走は別メーカーの薄底シューズを使用するなど、まずは薄底で土台を作ってから、ナイキ厚底シューズを履くようにしたという。練習でアルファフライを着用したのは4~5回だった。ナイキ厚底シューズに履き替えた松田はさらにパワーアップした印象だ。 MGCで4位に終わった松田は同3位の小原怜(30、天満屋)とともに東京五輪の女子マラソン代表の「補欠」という立場にある。MGC開催前に発表された日本代表選手選考要項には、「ファイナルエントリーまでに正選手に故障などが生じた場合は、補欠が正選手となり本大会に出場する」と明記されており、日本陸連は補欠選手に対し、ファイナルエントリーまで万全の調整をすることを求めている。また代表内定者には、故障や著しい不調の場合、選手入れ替えの可能性があることを通達している。 瀬古リーダーによると、補欠2人の順番はまだ決めていないという。7月のエントリー時には補欠1人を決めて、もう1人は解除となる。ファイナルエントリーはレースの4~5日前になる見通しだ。補欠選手が東京五輪を走る可能性は高くないが、今回の名古屋では日本代表内定者の鈴木亜由子(29、日本郵政グループ)が左脚外側大腿二頭筋腱の炎症のため欠場している。万が一に備えて、“最強の補欠”松田の存在は頼もしい限りだ。 「私は10000mよりもマラソンで世界と戦いたいので、東京五輪マラソン代表の補欠として取り組んでいきたい。五輪を走るかどうかわからないですけど、五輪に出る気持ちでいて、五輪に出ない場合は、五輪後のレースで日本記録に挑戦したいです」 名古屋で抜群の「強さ」を発揮した松田。今秋のレースでは、「速さ」を見せつけてくれるだろう。 (文責・酒井政人/スポーツライター)