なぜびわ湖毎日マラソンで鈴木健吾の驚異的な2時間4分台の日本新記録が誕生したのか?
76回大会で幕を閉じることになったびわ湖毎日マラソンで凄い記録が飛び出した。鈴木健吾(富士通)が2時間4分56秒という驚異的なタイムで優勝。大迫傑(Nike)が昨年3月の東京マラソンで樹立した2時間5分29秒の日本記録を30秒以上も塗り替えたのだ。 「こんなタイムが出るとは思わなかったので、正直自分が一番ビックリしています」とゴール後、鈴木自身も驚いていた。 日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーも「鈴木君は力のある選手だと皆が思っていましたが、まさか4分台が出るとは夢にも思っていませんでした」と口にするほどだった。 鈴木の2時間4分台を筆頭に土方英和(Honda)、細谷恭平(黒崎播磨)、井上大仁(三菱重工)、小椋裕介(ヤクルト)の4人が2時間6分台をマーク。日本人選手だけで40人がサブテン(2時間10分切り)を達成した。 日本人選手のサブテンは2016年が6人、2017年が9人、2018年が16人、2019年が8人、2020年が29人。同一レースでは昨年の東京で19人がサブテンを果たしているが、最後のびわ湖はそれ以上になった。従来の感覚よりも全体的に2分ほど速かった印象だ。 「1年間のランキングかと思うような成績になりました。こんなことは世界のマラソンでも初めてじゃないでしょうか。最後のびわ湖で日本の歴史を変えるレースができました。リーダーとしてこんなにうれしいことはありません」(瀬古リーダー) 最終ステージとなったびわ湖で何が起こり、2時間10分21秒が自己ベストだった鈴木はいかにして2時間4分台をモノにしたのか。 例年は2月前半に別府大分マラソン、3月上旬に東京マラソンが開催されていたが、新型コロナ禍の今年は両大会が延期した。その結果、国内トップクラスが出場するレースがびわ湖に“一本化”した形になった。出走者は前回の223人から今回は369人と1.65倍ほどに増えている。