『虎に翼』花岡(岩田剛典)の魅力を今こそ語りたい。“いけすかない若造”で“真面目で優しく不器用がすぎる”人間らしさが好きだった!
朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)第50話で、明らかになった花岡(岩田剛典)の死。佐賀出身であることが何かと強調されていたり、かたくなにヤミ市の食料に手を出さなかった描写から、「花岡のモデルは山口判事なのでは?」との考察が上がっていましたが、まさか本当にそうだとは……。 【写真】見るだけで泣けてくる…『虎に翼』花岡登場シーンの場面写真(写真5枚) 花岡のモデルとなった山口良忠判事とは? 佐賀県出身。食糧管理法(国民の食糧の確保と国民経済の安定を図るために主食である米を政府が管理すること)に基づき人を裁く立場だったため、自らもその法律を厳守。ヤミ市で売られている米を拒否して固形物をほぼ摂取せずに過ごした結果、栄養失調で餓死した。 正直なところ、最初は花岡のことをいけすかない奴だと思っていました。女性蔑視していたのは、轟(戸塚純貴)も同じでしたが、花岡は表では良い人ぶっていたからタチが悪い。寅子(伊藤沙莉)へのアピールも強引だし、ちょっと勘違いしちゃっている感じがするし。なんだか、『舞いあがれ!』(NHK総合)の柏木学生(目黒蓮)っぽいなぁって。 しかし、じわじわと憎めないキャラに成長していった花岡。梅子さん(平岩紙)の前で、女子部のみんなを尊敬しているのに、数少ない椅子を奪われるのではないか? と不安になって攻撃してしまうこと。「どの自分も嫌いで。どれも偽物というか、本当の俺じゃなくて……」と明かしている姿を見たとき、作り物のように見えていた彼のなかに人間らしさを感じて、一気に惹きつけられました。そりゃ、寅子たちを傷つけてしまった言葉は消すことはできない。でも、花岡はきちんと反省して改心できる人だ、と。 岩田さんも、インタビューで「花岡は、武士だった」と語られていましたが、本当にそのとおりですよね。寅子が家庭に入るよりも仕事に生きたいと思っていることを察すると、スッと身を引く。気持ちを伝えるくらい良いのでは? と思いましたが、花岡は寅子を余計なことで悩ませたくなかったのでしょうね。 そのあと、すぐにほかの女性と婚約をしたときは、「本当に寅子のことを忘れられてるの?」とちょっぴり不安になりましたが、彼のことだから奥さんのことを一途に愛し続けていたんだと思う。花岡は、一度決めたことは守り通す信念を持っている人だから。
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