糖質が一番多いのは栗きんとんでも黒豆でもない…糖尿病専門医が「正月に食べ過ぎないで」という2つの食品
■「祝い酒」はできればハイボールか焼酎で 朝昼夜の食事以外でも気をつけたほうがいいものが、いくつかあります。まずは、アルコール。お正月は家族や仲間と乾杯したいものでしょう。それも少量なら許容範囲ですが、ビールや日本酒などを大量に飲むのは避けてください。 ただでさえ、糖質の高いおせち料理をつまみながら糖質の高いお酒を飲む。そして、いい気持ちになってごろ寝してしまう。これはもうフルコースというか、血糖値を上げるためにゲームで言うコンボ(連続技)を決めているようなものです。 ビールよりはウィスキーで作ったハイボール、日本酒よりは焼酎という糖質が低めのお酒にするのも、ひとつの手です。ワインなら赤より白の方がベター。 ■「おせち料理×ビール×ごろ寝」のフルコースはリスクを高める しかし、問題は、お酒を飲むと、その後はついついその場で横になってしまう、ソファなどでうたた寝して動かない……となりがちなこと。お正月に限らず、食後は30分以内に運動をすると、血糖値の上昇を抑えられます。おせちやおもちを食べたら、その後は初詣に行って神社の中を歩く、近所に散歩に出掛けるなど、意識的に体を動かして下さい。 外に出掛けるのがおっくうなら、家の中で簡単な運動をするのもいいと思います。私のYouTubeチャンネルでも紹介していますが、15分ぐらいの体操で十分。エアプルダウン、スロースクワット、大股歩きのウォーキング、踏み台昇降などがおすすめです。
■「こたつでミカン」が昔とちがって危険になってきたワケ もうひとつ、注意すべき食べ物は、ミカンです。昔からお正月はこたつに入って、テレビを見ながらミカンを食べる……というイメージがありますが、昭和の頃、おじいちゃんおばあちゃんの家の庭に植えられていたミカンの木の実と、現在、スーパーなどで販売されているミカンは別物。最近の果物は甘くないと売れないので、糖分が高くなるように品種改良され、栽培されているそうです。 ミカン1個で糖質は約10グラムもあるので、「生の果物ならヘルシーだろう」と思って次々に食べないこと。果物に入っている「果糖」こそ、内臓脂肪の原因になりやすい物質で、そこから脂肪肝になると、それが原因で血糖値も上がってしまいます。ミカンなら1日2個ぐらいが適量だと思います。 また、ミカンだけでなく、果物全般、果物のジュース、ドライフルーツなどにも気をつけてください。 こうやってアドバイスしていくと、「お正月に食べるものがないじゃないか」と思われるかもしれません。繰り返しになりますが、どの食品も食べてはいけないわけではなく、摂る量の問題。そして、もし適量を超えて食べすぎてしまったら、食後に運動をすればいい。そんなふうに考えて、あまりがんじがらめにならず、楽しいお正月を迎えてください。 ---------- 矢野 宏行(やの・ひろゆき) 糖尿病専門医 やのメディカルクリニック勝どき院長。医学博士。1981年生まれ。2006年に日本医科大学卒業後、同大学附属病院に勤務。その後、国立国際医療研究センター研究所の糖尿病研究センターで糖尿病について研究をする。2023年、やのメディカルクリニック勝どきを開院。「Dr.ゆきなり」としてYouTubeでも情報発信をしている。著書に『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』(アスコム)、『自分でできる! 薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)がある。 ----------
糖尿病専門医 矢野 宏行