新型GRヤリスは“オートマ”でも十分楽しかった!!! ポルシェ911カレラのようなホットハッチだったワケとは
ハンドリングのよさは、速度に関係なく楽しめる
スポーツカーならいざしらず、昨今、ここまで凝ったハッチバックはそうそうない。フランスのルノーによる「メガーヌR.S.」は最高出力221kW、最大トルク420Nm(6段AT車)で性能も高く、かなり競合的だが、ボディ全長は4410mmなのに対してGRヤリスは3995mmと、ぐっとコンパクトにまとまっている。 乗り出したときは、足まわりの設定が硬いかな? と、思ったものの、少したつと慣れる。そして、すぐにまったく気にならなくなる。東京都内の高速道路では事故渋滞に巻き込まれたが、クラッチペダルがないので、まったく苦にならなかった。つまり快適性が意外にも高いのは、印象的だった。 試乗車には8スピーカーのJBLプレミアムサウンドシステム(セットオプションの一部)やコネクテッドナビまで搭載され、ふだん使いでも楽しみたいという人に向けたモデルだった。実際に、通勤に使ってもまったく苦にならないだろう。 むしろGRヤリスに毎日乗っていたら楽しいだろうなぁ、と、思わせられた。モータースポーツ競技のことはさておき、さきに触れたとおり、ハンドリングのよさは、速度に関係なく楽しめる。そこが美点だ。そういえば、ポルシェ「911カレラ」もそういうクルマである。 今回のRZハイパフォーマンスDATモデルの価格は533万円(6段MT車は498万円)。スポーツカーでいうとトヨタ「86」の最上位モデル(357万4000円)よりはるかに高く、スープラ「SZ」(499万5000円)も凌ぐ。いっぽう、レクサスのスポーツカーだと「RC」(581万4000円~)に迫る。と、言っても、決して高価だとは思わない。それだけ優れたモデルだった。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)