新型GRヤリスは“オートマ”でも十分楽しかった!!! ポルシェ911カレラのようなホットハッチだったワケとは
新しい「GRヤリス」に追加された、ATバージョンに小川フミオが試乗した。MTとの違いはいかに!? 【写真を見る】新型GRヤリスGR-DATモデルの内外装など(31枚)大きく変わったインパネまわりがアツい!
素晴らしきシフトワーク
昨今、電動モデルも増えているけれど、やっぱりガソリンで走るホットハッチから離れられない……そんな人には、GRヤリスが最適だ。2024年4月に登場した「GAZOO Racing Direct Automatic Transmission」はとにかく楽しい。 GAZOO Racing Direct Automatic Transmission(以下・GR-DAT)は、「レースでMTと同等に戦えるATを目指し開発した」とうたう、8段オートマチック変速機搭載モデル。試乗したグレードは「RZハイパフォーマンス」だ。 シフト操作に気を取られずステアリング、アクセル、ブレーキの運転操作に集中できるのがATのメリット。世界トップレベルの変速スピードをめざしたとされるだけあって、実際すばやいシフトワークには感心させられる。 スタイリングは、トヨタ「ヤリス」をベースにしながら、ボディは3ドア。前で約55mm、後ろで約80mm拡大(モデルにより多少の差あり)したトラック(トレッド)により張り出したタイヤをカバーするオーバーフェンダーが目をひく。かつ、フロントにはエンジン冷却用のサブラジエターや、ブレーキ冷却用の大きな開口部と、こちらも迫力だ。 破損を前提とした分割交換可能なバンパー、下部に開口部を設けて走行中の空気抵抗を減じ走行安定性を高めた空力デザイン、ぶつけたくない鍛造アルミホイール、走行抵抗になる静電気を除電する機能をそなえたスポーツシート、ギヤをマニュアルで選べるパドルシフト……と、自慢のタネにしたくなる装備満載だ。 GRヤリスのいいところは、ナチュラルな運転感覚。1618cc直列3気筒ガソリンターボエンジンは、最高出力224kW/6500rpm、最大トルク400Nm/3250~4600rpmと、パワフルだが、しっかり自分で意識してアクセルペダルを踏み込んで加速していく感覚が好ましい。クルマに振りまわされている感はない。 ラリーのために開発されたモデルなので、ハンドリングのよさが身上だ。ステアリングホイールは軽すぎず重すぎず、絶妙な重さで、自分でしっかりクルマをコーナリングさせていくとき、いいクルマだなぁと思うはず。 パワフルなエンジンによる加速性による走りの快感でなく、しっかりエンジンをまわして(フラットトルクなので回転域にかかわらず力不足感はない)ふんばる足まわりと、剛性感がかなり高そうなシャシーによる操縦性の高さを楽しめる。