【函館記念回顧】ホウオウビスケッツがエリモハリアー以来の巴賞から連勝 勝因は馬場と仕掛けにあり
攻めて盛りあげたアウスヴァール
2着グランディアは良馬場が多かった函館で好調だったハービンジャー産駒。コーナーで動ける機動力と極端に上がりが速くならない馬場に適していた。スタートから1コーナーにかけて行きたがった分、伸びきれないところもあった。中団から勝負所の立ち回りも完璧に近かっただけに、展開面をたぐり寄せられなかったのも痛い。もう一列前で競馬をするためにも、前半の立ち回りが課題になる。 3着は逃げたアウスヴァール。14番人気での激走はいかにも函館記念らしい。ホウオウビスケッツという近況のいい先行型がいても、迷わず逃げたことが好走要因だ。結果的にホウオウビスケッツをアシストした形になったが、あえて3コーナー手前から後ろを引き離し、物理的な距離をとったことも3着に残れた要因だろう。待つのではなく攻める。アウスヴァールの強気は間違いなく函館記念を盛りあげた。 1番人気サヴォーナは4着。序盤で長距離ほど位置をとれず、久々の中距離戦に戸惑いを感じたようだ。最後はスタミナ型らしく伸びてきたが、前半の位置取りが着順を決した面は否めない。秋は長距離に目標となるレースが少なく悩ましいところだが、序盤が速くならない2400、2500mの重賞ならチャンスはある。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳