「メタバース」で子どもに合わせた新しいかたちの学びの場。大日本印刷が作るあたらしい学びについて聞いてきた!
「メタバース登校」が自信につながる
吉田さん:家から出られない子に、まずメタバース空間に来てもらい、ゲーム感覚でメタバースに興味を持ってもらいます。 はじめは空間に入るだけでもいいんです。そこからだんだんと支援員や先生と話をするようになり、レクリエーションを通して文字チャットなどで会話をしたりするうちにメタバース空間に毎日通えるようになって、それが自信につながる。 レクリエーションを子どもたちに企画してもらうこともありますが、まわりから評価されることでモチベーションにも繋がり、コミュニケーションを楽しむようになります。だんだんと外の世界にも出るようになり、午前中は学校に行き、午後はメタバース空間にアクセスするというように自分のスタイルで学んでいる子もいます。 学校の先生からは、「指導教室に通えなかった子どもがメタバース空間に通うようになって楽しく過ごせるようになった」とか、「表情が明るくなった」など嬉しいご報告をいただくこともあります。また、「メタバースで慣れた子どもが適応指導教室への登校ができるようになった」など、をいただいています。
ここをきっかけに外の世界に飛び出してほしい
吉田さん:メタバース空間での活動が出席日数に換算されるかどうかは校長先生の判断で決まります。そのためお住まいの区やお通いの学校によって、判断が分かれてくるところですので、一概には申し上げられませんが、このメタバース空間の中では城南進学研究社のデキタスというデジタルドリルを提供しています。 この学習支援コンテンツに取り組んだ時間を出席日数に換算する学校もあるのです。問題を解いている時間や、取り組んだ内容を管理者(先生など)が見ることができ、メタバース空間への登校中の子どもの頑張りが見える化される仕組みになっています。 ある学校では、はじめの一歩として活動したことを褒めてあげたいという想いもあり、勉強・コミュニケーションをしている記録があれば出席と認めるようにしているそうです。 メタバース空間は、他者と関わる場所づくりがひとつ大きな目的で、このメタバース空間での体験をステップに、新たな学びに繋がるように支援していきたいと考えています。
新しい選択肢が増えたことで広がる可能性
子どもたちの新たな居場所として注目されている、メタバース空間。ここをゴールとするのではなく、外の世界へ飛び出す準備の場所としてこれから広がる可能性に期待していきたいですね。
取材・文/やまさきけいこ