中井卓大、新天地で3戦連続先発 監督からの要求は「ブスケツ、ロドリのように」
【チームは得点力不足の改善が急務】 これまで懸念材料とされていた対人守備の場面でも引けをとっていない。位置取りを含めて周囲と連動しながらしっかりボールを狩りとるという、スペインの「6番」に求められるプレーを随所で披露していた。 対戦相手のタラゴナは、昨シーズンのプリメーラ・フェデラシオンのレギュラーシーズンを2位でフィニッシュし、昇格プレーオフで決勝まで進んだものの、延長後半アディショナルタイムの失点で惜しくも昇格を逃したチーム。監督は継続、メンバーも大半が残っていることを考えると、チームとしての完成度はタラゴナのほうが上のはずだ。だが、試合はアモレビエタが主導権を握って、攻め込む時間帯が多くなった。 ただ、いくら主導権を握ろうと最後に勝敗を分けるのはゴールであり、それは現在のアモレビエタに最も足りないものでもある。前半を0-0で折り返し、後半もアモレビエタのペースで進んだが、1点が遠い。 終盤になると、アモレビエタはFWを入れ替え、さらに本職はDFの選手をボランチに入れて、中井を前に上げて得点を目指したが、逆にバランスが崩れてカウンターを浴び、PKを献上。これを決められ、土壇場で勝ち点1を逃して敗戦を喫することになった。レギュラー格のFWが負傷離脱中という事情もあるが、第3節終了時点で、グループ1での得点0はアモレビエタだけであり、改善は急務になる。 「第1節はボランチで先発し、途中から左インサイド、第2節は左インサイドで先発し、途中からボランチで、今日は第1節同様のポジションでした。プレシーズンマッチから(4部のカラオラ戦を除き)ここまで、出場したすべての試合で先発として使ってもらっている。監督の信頼を感じています」 中井本人がこう言うとおり、プレー時間の確保に苦労した過去2シーズン(カスティージャ、ラージョ・マハダオンダ)とは、状況はかなり変化している。
ただ、このまま勝ち点を伸ばせないと、地元のビッグネームであるゲレーロといえどもすぐに監督解任の可能性が出てくるのがスペインの厳しい現実でもある。昨シーズン、中井が所属していたラージョ・マハダオンダは、5回も監督交代があったためか、チームが終始安定しなかった。中井もポジションを"確保できたか"というタイミングで監督が交代してしまい、それにより戦術や選手構成が変わって再び出場時間を減らすなど、たぶんに影響を受けていた。 信頼を寄せてくれている監督の期待に応えてチームの勝利に貢献し、自身のポジションと出場時間を確保するためにも、次節以降、中井のさらなる奮起に期待したい。
ムツ・カワモリ●文・撮影 photo&text by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA