「二宮和也の伝説」と「佐藤勝利の努力」…オーディション番組「タイプロ」を見てよくわかった「やはり本物は違う…!」
落選した当然の理由
新卒採用においては、将来どう成長するかという可能性も込みで判断されるが、中途採用ではその人物が以前の企業でどのような実績を積んできたかも見られることになる。 3次審査になると、候補生がグループに分かれ、3日間ともに寝泊まりした上でパフォーマンスを披露する審査が行われた。 グループを組むことで、各々の協調性やグループの中での立ち位置なども審査の対象となってくる。必ずしも、ダンスや歌のスキルが高いから審査を通過するわけではないのが印象的だった。そこで問われていたのは自分の持っているスキルの出し方だったのではないだろうか。 対照的だったのは、アナウンサーとジャズシンガーの候補生だった。 候補生の中に、現役の地方局の男性アナウンサーがいた。もちろん、アナウンサーといえば、聞き役としてのプロフェッショナルである。場の空気を敏感に察知し、そしてそれを会話によって変化させていく職能を持ってもいるはずだ。しかし、彼のいるチームは最初会話がなく、微妙な空気が漂っていた。そこは彼が自分のスキルを発揮するべき局面だったように思う。 一方、候補生の中に、ジャズシンガーとしての経歴を持つ者がいた。彼は、2次審査で見事な歌唱力を披露したが、3次審査では、それがアイドルとしての歌い方、グループでの歌い方に合わないという指摘を受ける。すると彼は、自分の歌い方を封印。見事、グループに合わせた歌い方に変化させ、そこが菊池風磨にも評価されていた。 アナウンサーは3次審査で落選。ジャズシンガーは通過した。 自分のスキルをチームのためにどのような形で使うことができるか。もしくは抑えることができるのか。様々な背景を持った候補生がそのスキルや経験を、どうtimeleszの求めるものに合わせて発揮できるかが問われている気がした。 さらに4次審査では、STARTO ENTERTAINMENTの俳優部から3名が参加。ジュニアとして10年以上の経験を積み、中には大きな劇場で主演を張る俳優までいるプロフェッショナルたちだ。だが、彼らも一般候補生に混じってレッスンをし、寝泊まりする部屋まで一緒だ。正直、プライドが許さない部分もあるかもしれない。しかし、そんな気配は微塵も見せずに、丁寧にメンバーにダンスを指導。菊池風磨に「よくまとめた」と言われ涙するメンバーもいた。 また、そのメンバー……原嘉孝が、初めて審査に合流したときにグループのメンバーに放った一言にも注目したい。 「顔だけだったらみんな俺に勝ってるね、顔だけならね」という言葉は“顔だけで評価されるわけではない”ジャニーズの世界の真髄を表した一言でありながら、謙虚さと、先輩としてナメられない絶妙なバランスの一言でもある。自分の強みを伝えつつ、相手の強みも称賛している。一般企業で後輩と仕事をするようになった立場の人の立ち回りとしても、大いに学ぶポイントがあるはずだ。