松本若菜『わたしの宝物』ラスト30秒でタイトルの “本当の意味” が判明…だが、結末は消去法で決まっていた?【ネタバレあり】
タイトルの「宝物」とは、不倫の末にできた「子ども」のことかと思っていたが……。 12月19日(木)に最終話(第10話)が放送された松本若菜主演のドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)。夫以外の男性との子を妊娠し、夫との間の子だと偽って産んで育てる「托卵(たくらん)」がテーマだ。 【画像あり】最後までみたい10月ドラマ『わたしの宝物』は何位? 専業主婦の神崎美羽(松本)は、夫・神崎宏樹(田中圭)からの辛辣なモラハラに耐える日々を送っていた。そんなとき、中学時代の幼なじみ冬月稜(Snow Man・深澤辰哉)と数十年ぶりに偶然再会。美羽と冬月は一度だけ関係を持ち、彼の子を妊娠する。 だが、冬月が渡航先のアフリカで大規模テロの被害に遭い、亡くなったというニュースを知り、美羽はわが子を守り抜くため、宏樹には2人の間にできた子だと偽り、出産。モラハラ三昧の宏樹だったが、産まれた娘に「栞」と名づけ、改心していく。昔のようなやさしい夫に戻り、美羽と栞に愛情を注ぐようになるが、実は冬月は生きており、日本に帰って来て美羽と再会し――というのが物語前半のおおまかなストーリーだった。 ■【ネタバレあり】美羽と子どもが最後に一緒にいたのは? 結論から言うと、美羽と宏樹が復縁してハッピーエンドという結末だった。すでに宏樹は栞が自分の子ではないと知っていたため、2人は離婚届にサインをして、あとは役所に提出するだけという状態に。だが、終盤で、美羽が離婚届を出しに行こうとしていたところに宏樹が駆けつけ、お互いの罪を背負ってでも3人で一緒に生きていきたいと伝え、美羽を説得。復縁となった。 最後は、自宅で家族3人が仲睦まじく過ごすシーンで幕を下ろしたのだが、ラスト30秒の会話でタイトルの本当の意味が明かされる。宏樹が「美羽、愛してるよ」と伝えると、美羽は「私も、愛してる」と応える。そして宏樹が「栞も愛してるよ」と話しかけ、『わたしの宝物』というタイトルが表示されて終幕。 タイトルの「宝物」とは「子ども」のことだと思っていたが、子どもだけでなく、愛する夫・妻を含めた「家族」だという着地点だったわけだ。 ■テーマを考えれば意外性はなく順当なエンディングだった 意外な結末と思った視聴者もいたかもしれないが、よくよく考えてみれば、この結末しかありえないことがわかる。 本作は「托卵」がテーマだが、夫にずっと秘密を隠し通していては、主人公がただただ本当の悪女になってしまって共感できないし、そもそも真実がバレないと物語が “動いて” いかない。そのため、物語途中で宏樹にバレてしまうのは既定路線だったわけだ。 そして、その後の展開として結末は大きく分けて3パターン。 (1)夫とも不倫相手とも別れる (2)不倫相手とひっつく (3)夫と元サヤに戻る ただ、(1)と(2)だと「托卵」というテーマから外れてしまって、この作品の存在意義がなくなってしまうのである。 つまり、エンターテインメントとしてこのテーマを成立させるには、消去法で “夫にバレるが不倫相手の子を夫と育て続ける” という結末しかなかったのではないか。そう考えると、よくも悪くも意外性はなく、順当なエンディングだった。 ■物語を引っ掻き回していた女性キャラ2人の結末は… ちなみに、物語を引っ掻き回していた女性キャラ2人にも幸せな結末を用意してあったのは、個人的にはさすがにご都合主義すぎると感じた。 まず、美羽の年下の親友だった小森真琴(恒松祐里)。途中から宏樹に対して恋心を抱いて美羽に嫉妬し、美羽の不倫を宏樹に暴露。さらに、栞が実の子ではないことをほのめかすという、暴走キャラである。美羽と宏樹が復縁したので、当然、想いは叶わなかったのだが、最終話終盤で自身が経営している雑貨店の従業員男子が自分のことを好きだとわかり、まんざらでもない表情を浮かべていた。いわゆる恋愛フラグが立った状態だ。 次に、冬月の同僚だった水木莉紗(さとうほなみ)。物語序盤、冬月に密かに想いを寄せていた彼女は、アフリカで亡くなったのは冬月だと嘘をつき、美羽が托卵という道を選ぶきっかけを作ったキャラである。途中で冬月にフラれたのだが、最終的に冬月が莉紗に「また一緒にアフリカで学校を作らないか?」と仕事のパートナーに戻ることを提案。それだけでなく、「またいつか一緒に歩きたい」と恋愛的な含みも感じさせる発言もして、莉紗を喜ばせていた。 ――主要キャラ全員が落ち着くところに落ち着き、幸せな未来に向かって歩み出すという全方位のハッピーエンドだったのだが、少々 “きれいごと” すぎると感じた結末だった。 ●堺屋大地 恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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