LGBTQ+差別に対処する「仕組み」スウェーデン・ドイツ訪問記──連載:松岡宗嗣の時事コラム
ライターの松岡宗嗣は、スウェーデンとドイツのプライドパレードに参加。LGBTQに関する団体や行政活動の視察を含めてリポートする。 【写真を見る】ストックホルムやベルリンのプライドパレードの様子など
記録的な猛暑が続く日本を離れ、7月末からの約2週間、スウェーデンとドイツを訪れた。LGBTQに関する団体や行政の活動を視察したり、ストックホルムやベルリンのプライドパレードにも参加した。 共通して印象に残ったのが、「差別に対処するための仕組み」だった。どちらの国も、性的指向や性自認に関する差別禁止法があり、同性婚が認められてからすでに何年も経ち、トランスジェンダーの法的な性別変更の要件も大きく変わりつつある。 法的な基盤があると、どのように権利が守られ、政府はどんな姿勢を示すのかという点で、日本との大きな違いを痛感させられた。
個別ケースにどう対処するか
スウェーデン・ストックホルムの街中には、至るところにレインボーフラッグが掲げられていた。 ストックホルムプライドは、毎年沿道を合わせて50万人ほどが参加する北欧最大のパレードだ。 先頭のフロートは、1950年に設立されたLGBTQ+関連団体「RFSL」だった。全国に支部があり、約7000人の会員がいる。「マーチを歩けない人のために行進する」というメッセージと、拳を掲げ歩いていたのが印象的だった。 プライド期間中に別会場に設置された「プライドハウス」では、連日、LGBTQ+に関するシンポジウムが開催されていた。 スウェーデンに亡命するLGBTQ+の現状、トランスジェンダーをめぐる法律状況、スウェーデン企業に何ができるかなど、多種多様なセミナーに参加することができた。 その中でも、「差別禁止法によってどう保護されるのか?」というテーマのセミナーでは、事例をもとに法律の効果が解説されていて、大きな学びになった。 スウェーデンでは、2008年に包括的な差別禁止法ができ、人種・民族、宗教、障害などに加えて、性的指向や性自認に関する差別やハラスメントが法的に禁止となっている。2011年には憲法レベルで性的指向に基づく差別の禁止が明記された。