新入社員がみんなで学ぶ 旭化成の「新卒学部」
学び合いのカルチャーを広めていきたい
――今後、学びのコミュニティーの取り組みをどのように広げていく予定ですか。また、自律的な学びやキャリア形成を支援するにあたり、他に挑戦したいことや実現したいことがあればお聞かせください。 梅崎:新卒学部は、短期的には前年度の振り返りをもとにブラッシュアップしていきたいと考えています。現在、2年目である2024年度のプログラムが進行中ですが、2023年度とは大きく変えた部分が二つあります。一つは、第1クールの期間を短縮して第2クールに比重を置いたこと。第1クールはコミュニティーに慣れ、学び方を身につけるための期間とし、より自分たちが学びたいことの企画が自由にできる第2クールの期間を長くしました。もう一つは、これまで以上に「学び合い」の促進にフォーカスを当てること。23年度も主体的にいろいろな企画を実施してもらっていましたが、学習や交流など、目的が混在していました。24年度はより学び合いを促進する企画をしてほしいと、ゼミ長やコミュニティー運営メンバーに伝えており、すでにいくつかの企画が生まれています。 長期的には、新卒1年目だけでなく、2年目、3年目となっても交流や情報交換を続け、学びのアクションを継続できるような機会を設けていきたいと私自身は考えています。 三木:終身成長のために自律的キャリア形成が求められるのは新入社員だけではありません。そのため、コミュニティーでの学びを他の階層にも広げていこうとしています。本年度からは新任係長と新任課長向けにも形を変えてプログラムの提供を開始しました。これまでの階層別研修では全員が一律で同じ内容を受けることが多かったのですが、自身の今後のキャリアに必要なスキルに合わせてコースを選び、同じコースを選んだメンバーと交流しながら学び合うという形に変えました。忙しい世代ですが、対象者の3割ほどが手を挙げ、参加しています。今後は他の階層でも実施していきたいと考えています。 実は、CLAPの導入後に、自発的な学びのコミュニティーが立ち上がっています。「読書会コミュニティー」といった階層を越えた取り組みや、職場単位で学びの共有をする組織も出てきています。こうした火を消さないように、互いに学び合いながら一緒に成長していけるカルチャーづくりに、今後も取り組んでいきたいですね。