45歳の地方公務員、上司に「管理職試験」をすすめられたけど、年収が今より「100万円」増えるなら受けるべき?“管理職のメリット”や“注意点”を筆者の体験もふまえ解説
公務員として長く働き、中堅から上の年代に差し掛かると、優秀な職員ほど「管理職になってみないか」と上司から管理職への昇任試験を受けるように勧められることがあるでしょう。しかし、管理職になると忙しくなったり、残業代が支給されなかったりすると聞いて、試験を受けるか迷う人も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、地方公務員の管理職になった際の年収の変化や「残業代」の取り扱いなどに加え、年収面以外の管理職になるメリット・デメリットについても、筆者の体験談を交えて解説します。 ▼「公務員は安定している」って本当? 定年退職の割合や退職金の平均額を教えて!
管理職になると年収は上がる?
管理職になる大きなメリットの1つが、管理職手当の支給などによる年収アップです。管理職手当の支給額は各自治体や役職によって違い、例えば2023年4月時点で、愛知県では4万5700円~14万6400円、福岡県では4万2100円~13万9100円の範囲になっています。 ボーナスである期末・勤勉手当にも役職に応じた加算があり、基本給にあたる俸給も上がることから、大半の人は年収がアップします。例えば、図表1の大阪市が公表している年収モデルでは、年齢の差はあるものの、管理職の年収がそれ以外の職員と比べてかなり高くなっているのが分かります。 図表1
大阪市 大阪市職員のモデル年収額(令和5年度見込) ほかにも生涯賃金で考えれば、退職金が高くなるなど長い目で見ると経済的なメリットはさらに大きなものになります。
管理職になると「残業代」は支給されない?
管理職には多くの経済的なメリットがある一方で、管理職になった直後は年収アップを実感しにくい可能性があります。これは管理職手当が支給されるようになると、「残業代」である「時間外勤務手当」が支給されないことが大きな要因です。 管理職手当が支給される職員は「管理監督者」とみなされるため、管理職手当と時間外勤務手当は重複して支給されません。そのため、管理職になる前に、時間外勤務手当を多く支給されていた職員は、管理職になった直後は年収があまり増えないケースもあります。 例えば、管理職になった直後で管理職手当が5万円だった場合、前年度に毎月3万円ほど時間外勤務手当があったとすると、月額では2万円程度しか差がありません。基本給アップやボーナスへの加算を考えても、年収は数十万円単位のアップにとどまるでしょう。 そのため、給与が「思ったほど上がっていない」「仕事の大変さのわりに給与が少ない」と感じる人もいるかもしれません。また管理職ではない職員も、在職年数が長くなれば一定程度は基本給が上がります。そのような職員が多くの時間外勤務手当を受給すれば、「管理職である課長より一般の課長補佐の方が年収は高い」という現象が発生する可能性があり得るのです。