テレビ番組の特集で知った「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」に感銘。病気と闘っている日本の子どもたちを支えたい・・・【体験談】
「検査室探検ツアー」を行ったことで、鎮静剤なしでMRIの検査を受けられた
――石塚さんが考えた「検査室探検ツアー」によって、MRIの検査がうまくできた子もいたとか。 石塚さん 長期入院していた4歳のBちゃんです(※)。MRIの検査中はじっとしていないといけないのですが、音がうるさいし、閉じ込められたように感じてしまうので、低年齢の子は鎮静剤で眠っている間に行うことが多いんです。Bちゃんも当初は鎮静剤を使う予定でしたが、YouTubeでMRIの音を聞いても「電車の音みたいだねえ」ってわりと平気そうにしていたし、主治医も私も「この子は鎮静剤を使わなくても検査できるんじゃないか」って感じたんです。 前向きに検査を受けられるように、検査前に「検査室探検ツアー」を行ってみました。シールを貼る用紙をBちゃんに渡して、検査室に入って名前を言えたらシールを貼る、検査用のベッドに横になれたらシールを貼る、といったシールラリーです。 Bちゃんは「探検ツアー楽しかった!眠くなる薬を使わないで頑張る!!」と、とても前向きになってくれ、鎮静剤を使わずにMRIの検査を受けることができました。 ※ 個人情報保護の観点から、実例をもとにアレンジしています。
子どもは大人が思うよりもポジティブ。「乗り越える力」を信じてあげて
――AくんやBちゃんが、手術や検査の不安や怖さを克服できたのはなぜでしょうか。 石塚 子どもには「乗り越える力」が備わっています。AくんもBちゃんもその力を発揮してくれたんだと思っています。 その子の「強み」を見つけて、乗り越える力を支援するのは、CLSの重要な仕事です。いろいろな選択肢を提案しつつ、その子にとっていちばんいい方法を一緒に考え、選ぶ手伝いをしています ――現在、病気と闘っている子どもをもつママ・パパに、知っておいてほしいことはありますか。 石塚 子どもは大人が考えているよりもずっとポジティブで、目の前で起こっていることに立ち向かい、乗り越えていく力があります。ママ・パパはその力を信じてあげてほしいです。 ママ・パパはきっと、心配や不安を抱えながら日々お子さんを支えていらっしゃると思います。そんなママ・パパの力になりたいと、病院のスタッフは考えています。どんなささいなことでも心配や不安を感じたら、入院や通院している病院のスタッフに相談してください。きっと力になってくれます。 お話・監修・写真提供/石塚愛さん 取材・文/東裕美、たまひよONLINE編集部 「子どもが不安なとき常にそばにいて、ほっとできる存在になりたい」と言う石塚さん。不安や恐怖を少しでも減らし、治療に前向きになれるための方法を一緒に探し、子どもの乗り越える力を応援しています。
石塚愛さん(いしづかあい)
PROFILE 2015年青山学院大学教育人間科学部心理学科卒業。2017年アメリカ・カリフォルニア州のMills College MA in Child Life in Hospitals卒業、修士号取得。同年Certified Child Life Specialistの資格取得。2018年1月から横浜市立大学附属病院にて、チャイルド・ライフ・スペシャリストとして勤務。夫、1歳4カ月の息子との3人暮らし。神奈川県二宮町出身、横浜市在住。 ●記事の内容は2024年12月の情報であり、現在と異なる場合があります。
たまひよ ONLINE編集部