カセットコンロの缶、マットレス、資源回収…ごみの出し方間違っていませんか?【マシンガンズ滝沢さんに教わる捨て方】
今注目を集めるキーワードを深掘りする連載「気になるニュースなことば」、社会派ライターの渥美志保とミモレ編集部の坂口がお届けする今回のテーマは「ごみ問題について」。第1回は、「難しいごみの捨て方」です。 渥美:年末が押し迫ってまいりましたが、年末といえば大掃除ですね! 坂口さんは物を捨てるの得意ですか? 坂口:無心で捨てるのは割と得意かな……。でも、家族のものは勝手に捨てられないから、自分のもの限定ですけどね~。 渥美:私は踏ん切りつくまでが長いタイプなんで、早いところ何を捨てるか悩み始めたいです! そして悩ましいっていったら、最近のごみ捨てルールの難しさ! 坂口:分別とか、捨て方とか、回収場所とか、申請とか複雑だけど、環境やリサイクルにもきちんと配慮したいですよね。 渥美:ということで、今回はその辺のお話を、ごみ清掃員でお笑い芸人の滝沢秀一さんにお伺いします! マシンガンズ 滝沢秀一さん ’98年 西堀 亮さんとお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。’12年、妻の妊娠をきっかけに、定収入を得るために清掃会社に就職。お笑い芸人との二足のわらじとして活動。’18年にごみ清掃員としての体験を綴ったエッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)を出版、ベストセラーに。2020年 環境省「サステナビリティ広報大使」に就任。「滝沢ごみクラブ」を主宰し、ごみ拾いのイベント、X(旧Twitter)でごみの捨て方の発信、リサイクルの現場や最終処分場の取材など、ごみを減らすための様々な活動を展開。 渥美:滝沢さんのXを参考に、いつもごみ捨てしています。「油のついたピザ箱は古紙回収でなく燃えるごみ」っていうのに「そうだったのか!」と目からウロコでした。ごみの捨て方の発信は、どうして始めたんですか? 滝沢:ごみの捨て方が完璧な人ってそうはいないんですが、間違っている人もいろいろなんです。見るからに「最初から分別する気がないんだな」という人もいますが、例えばペットボトルの中にきれいに洗ったシャンプーの容器が交じってたりすると、「ルールを知らないだけなんだな」と感じるんですよね。そういう人は正しい情報さえあれば、きちんと分別してくれると思うんです。確実にごみを減らそうと思ったら、まずはそこからだなと。 坂口:ちなみに、食用油や香辛料の強いものが入っていたペット容器は「燃やすごみ」で、きれいに洗える食料品以外のペット容器は「資源プラスチック」ですよね。 渥美:今回そういう難しい「ごみ捨てのルール」を滝沢さんに教えていただきたいなと。「ピザ箱」同様に、勘違いで古紙回収に入ってくる「ダメな紙」ってありますか? 滝沢:「匂いがついた紙」ですね。石鹸や洗剤の空き箱、お線香の箱とかは、リサイクルできないんです。女性誌に中綴じされて「香水」のおまけがついてくることありますよね、あれもリサイクルの大敵です。他の紙に匂いがうつると、売り物にならなくなっちゃうんです。それから1枚入っているとトン単位でダメになるのは「昇華転写紙」ですね。カバンとか靴とか買った時に、中に詰め物として入ってる、ちょっと薄い、きれいな色のついているようなやつ。 坂口:あれ、ダメなんですか! なんならちょっとおしゃれな良い紙のような気がしちゃっていました。 滝沢:ですよねえ。実はあれって、二度と紙に生まれ変われないもので。紙そのものがインクを含んでいて、再生した紙にシミになって出てきちゃうんです。古紙回収に入れられてしまうと機械で分別できないので、清掃員が手作業で取り除くしかないんです。 渥美:リサイクルできない紙って、実は意外と多いんですね。 滝沢:そうなんですよ。「紙」マークがあるものは全部、古紙回収でOKと思うじゃないですか。法律でマークを付けなければならないから付けているだけで、それが紙のリサイクルに出してくださいという意味ではないんです。で、そのうちの「紙が含まれる割合が高いもの」には「紙」マーク、「プラが含まれる割合が高いもの」には「プラ」マークがついているんですね。 渥美:つまり「紙」マークがあっても、普通の紙とはぜんぜん違うものも? 滝沢:そうです。例えば「カップヌードル」の容器って、普通にプラスチックに見えますよね。でも「紙51%、プラ49%」だから「紙」マークがついていて、古紙回収にやたらと入ってきます。もちろんリサイクルNG。カップ麺の紙の蓋も、防水加工されているのでNG。内側が銀色の豆乳パックも、豆乳パックのみで集めればリサイクルOKですが、他と交ざるとNG。どこかしらがメタリックな紙はNGと思ってもらって間違いありません。薬の外箱なんかもメタリックなデザインのものがありますが、あれもダメ。
渥美 志保,坂口 彩
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