20号逆転満塁&21号2ランでダービートップに並んだ阪神の大山はバース以来の本塁打王になれるのか?
まずは本塁打の打球方向。ここまで21本の内訳は、左方向が13本、中方向が3本、右方向が5本となっている。昨年は14本中、左方向が10本、中方向が2本、右方向が2本と偏っていた。真ん中から逆方向への打球が増えたこと、つまりバッティングの意識が変化したことが進化したポイントのひとつ。本塁打のタイトルホルダーの条件には、逆方向の本塁打が挙げられることが少なくない。 もうひとつの進化を示すデータは、本塁打にしている球種だ。 実は、この日、大山の2本目は、藤嶋の外角低めのスプリットを捉えたものだったが、フォーク、スプリット系を本塁打にしたのは今季初である。昨年も、この球種を本塁打にしたことはなかった。昨年までは、14本中、ストレートを打ったのが5本、シュートが3本、カーブが5本、スライダーが1本、カットボール、フォーク、スプリットは0本という内訳で、いわゆる外へ逃げていくボール、低めに落ちていくボールを苦手としていた。 だが、今季は、この日、柳から満塁弾を打ったカットボールが4本、スライダーが5本と、昨年まで失投でさえ捉えることのできなかったボールを打ち始めているのである。 その理由は、池田氏が分析した打撃フォームの変化であり、甘いボールは、どんなカウントからでも積極的に仕掛けて振っていくという打席での積極性だろう。 「今日は今日で終わり。また明日勝てるように頑張ります」 大山は落ち着いた表情で話した。 クライマックスシリーズがない特別なシーズンに早々と巨人にマジックが点灯し、ペナントレースに興味を失いつつある阪神ファンに大山は34年ぶりのタイトル争いという楽しみを提供してくれた。せめて個人で“巨倒“を果たしてもらいたい…大山に夢を託す虎党は少なくない。