「激戦州」「郵便投票」「勝利宣言」米大統領選のキーワード
カギを握る「激戦州」と「青い州」「赤い州」
多くの州では、政治風土や人種構成、産業や所得、宗教などから、有権者の支持する候補者がすでに決まっており、共和党が勝つか民主党が勝つかは毎回ほぼ変わらない。ポイントとなるのは両候補の支持が拮抗する10ほどの激戦州(スイングステイト)だ。今年の選挙の場合、ウィスコンシン、ノースカロライナ、フロリダ、アリゾナ、ペンシルベニア、ミシガン、オハイオ、テキサス、アイオワ、ジョージア、ネバダなどの州で両者がしのぎを削っている。 さらに、激戦州の中でもトランプ氏の支持者は田舎に多く、バイデン氏の支持者は都市部に多い。都市部の郊外については以前は共和党側が優勢だったが、近年は民主党支持も増えており、今回の選挙でもこの「郊外票」が両候補の雌雄を決する可能性がある。
「郵便投票」増加による開票遅れと「敗北宣言」
今回の選挙では、新型コロナウイルス感染対策として、投票用紙を郵送する「郵便投票」を含めた期日前投票が進められている。フロリダ大学教授らが運営するサイト「米選挙プロジェクト」の集計によると、11月1日時点の期日前投票者数は約9000万人を超えた。その中の郵便投票は5760万と約65%を占めている。郵便投票が特例程度にすぎなかった前回選挙とは比べ物にならない増加となるのは必至だ。 ただ、郵便投票のルールは州ごとに異なる。票日になるまで封筒の開封などの開票作業を認めない州もあるほか、消印が11月3日の選挙当日であれば認める州もある。このため、今回は郵便投票の数が大きく増えることによって開票作業が大幅に遅れ、選挙結果が出るのに時間がかかることが予想されている。どれだけ接戦になるのか、どれだけ郵便投票があるのか、実際に遅れがあるのかなどを考えるといつ当確が出るのか全く予想できない。トランプ氏が負けても「敗北宣言」をするかどうかも分からない。米大統領選の決着をつけるのは勝利者への祝福の電話であり、その後に勝者が「勝利宣言」をする慣習があるが、今回はどうなるか、かなり波乱含みになりそうだ。 特に各種調査では民主党支持者に郵便投票が多い傾向が目立っており、選挙当日の通常の投票の集計ではトランプ氏が勝っても、郵便投票の開票が進むとバイデン氏が逆転するシナリオが現実的になりつつある。一方で、郵便投票の割合が圧倒的に大きくなればなるほど、トランプ氏の「不正の温床」という批判が大きくなっている。