地震で生き埋め…亡き父に送り続けたLINE「春高バレー出場、決まったよ」16歳女子バレー部員の“1年後”…創部わずか2年、石川の高校で起きた奇跡ウラ側
創部わずか2年…奇跡の勝利
死亡確認から1週間が経過した1月9日に金沢市で父の葬儀を終え、20日に彩さんは祖父と母、弟を残して山梨県甲斐市に移動する。高校進学以来、寮生活を送っていた彩さんはバレーボール部の仲間と共に兄弟校である日本航空高校山梨キャンパスで避難生活を送ることになったのだ。センバツ出場が濃厚だった硬式野球部を取材していた筆者が彩さんと出会ったのは、甲斐市に到着した翌日のことだった。 「ママや弟を輪島に残して山梨にやってくるのは心苦しかったです。でも、ママが『行ってきなさい』って私の背中を押してくれた。パパだって、私がいつまでも悲しんでいることを喜ぶはずがない。春高バレー(全日本バレーボール高等学校選手権大会)に出るのが夢なんです。私がバレーをやることを楽しみにしてくれた父のためにも、仲間と共に勝ち取りたいです。創部されたばかりの部ですけど、きっと乗り越えられないことはない」 バレーボールに励むすべての高校生にとって最大の目標は毎年1月に行われる春高バレーへの出場だ。石川県の女子代表は昨年大会まで金沢商業が22年連続で出場していた。日本航空石川も創部以来、好成績が続いているとはいえ、伝統校の壁は大きい。彩さんの夢が成就する可能性があったとしても、彼女たち1期生が最高学年として迎える2026年大会ではないか――そんなことを考えながら、24年1月以来、日本航空石川の女子バレーボール部の動向を追っていた。 しかし、奇跡は起きた。 昨年10月の石川県予選で、2年生主体の日本航空石川は金沢商業を相手にセットカウント3-0で勝利し、創部2年目ながら初出場を決めたのだ。
LINE既読つかない父に“送った言葉”
輪島を離れて以来、彩さんは故郷に帰ることができず、母ともなかなか会えなかった。寂しい時には母に電話を入れられるが、父と二度と会えない哀しみが襲うこともある。 「そんな時は、絶対に既読はつかないんですけど……パパのLINEにメッセージを送り続けていました。今日はこんなことがあったよ、とか、明日はあんなことがあるよ、って」 金沢商業に公式戦で初めて勝利した10月26日には次のメッセージを送った。 「春高出場が決まったよ」
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