「西園寺さんは家事をしない」第10話「ふとした時に見せる表情や言葉に注目してほしい」
TBSでは、火曜ドラマ「西園寺さんは家事をしない」が放送中。原作は「ホタルノヒカリ」などを手掛けた人気漫画家・ひうらさとるによる同名コミック(講談社「BE・LOVE」連載)。徹底して家事をしない主人公・西園寺一妃(松本若菜)と年下の訳ありシングルファーザー・楠見俊直(松村北斗)&その娘・ルカ(倉田瑛茉)の風変わりな同居生活を通して「幸せって何? 家族って何?」を考えるハートフルラブコメディーだ。
いよいよ終盤の第10話に差し掛かった本作。「横井(津田健次郎)のだしの話がしみた」という声が多数届けられた第9話を経て、“偽家族”はどうなるんだろうという不安も渦巻く展開に。思いは通じ合っているのに、どこまでいってもかみ合わない西園寺さんと楠見はどうなる!? 第10話、そしてラストに向けての展開について岩崎愛奈プロデューサーからコメントが届いた。
西園寺さんが下した決断の真意を追いかける第10話
第9話で横井が話した“だし”の例えは、原作の中でもとてもすてきだと思っていたエピソードと前回もお話しましたが、津田健次郎さんに演じていただけたことで、言葉の重みや温かさ、優しさが、視聴者の皆さんにも存分に伝わっていたようでうれしい限りです。その言葉を胸に響かせている西園寺さんと楠見も、若菜さんと松村さんが本当にすてきに演じてくださって。言葉の持つ力を私自身もあらためて感じた回ですね。 そして、病院でのシーンも印象的でした。普通の恋愛ドラマだったら、同じ女性を好きになった男性2人って対立的な構図になるはずですが、本作では、楠見も横井もお互いを信頼し合う関係がすでに築かれている。楠見にとっての横井は“偽家族”を受け入れ、支え、さらにはその一員になりたいと言ってくれた人でもあるし、横井からすると、“偽家族”の一員になったことで楠見への敬意や愛情が生まれている。だから、横井に「西園寺さんのことを好きなんですか?」と聞かれた時、楠見はきっとうそをついたり誤魔化したりしないんだろうなと思ったんです。 そして横井も、正直に「はい、好きです」と答えた楠見の言葉を、決して恋のライバルからの牽制(けんせい)の言葉としては受け止めないのだろうなと思いました。そうして生まれたシーンなのですが、しっかり信頼関係を築いてきたあの2人にしかできない会話だからこそ、すごくすてきではあるんですけど…その分、すごく切なさも苦しさもあります。もしかしたら、いっそバチバチにライバル関係になった方が楽かもしれないですよね。でも誠実でお互いに敬意がある2人だからこそ、同じ女性を好きになってしまった切なさが増したシーンだと思っています。 そして最後に、西園寺さんが楠見に言い放つ「出ていってほしい」というセリフ。見てくださった皆さんも「えっ!?」と驚いていたようですが、私も台本を作っておきながら「なんでそうなっちゃうんだよー!」ともどかしく思っています(笑)。ただ、2人がどれだけ相手のことを思っているかは見てくださっている皆さんも分かってくださっていると思うので、西園寺さんがなぜそういう言葉にたどり着いたのか、なぜそんな決断をしたのかを第10話で追いかけていただけたらと思います。