Core Ultra 200VのvPro対応版登場。サイバー脅威対策をさらに強化
Intelは1月6日(現地時間)、CES 2025年で新製品群を発表。この中で、昨年(2024年)の9月に発表されたCore Ultra 200V(開発コードネーム:Lunar Lake)のvPro対応版を発表した。 【画像】vPro対応Core Ultra 200V ■ Core Ultraシリーズ2のvPro対応版がCESで発表される IntelのクライアントPC向けのプロセッサは、一般消費者向けの通常版と、エンタープライズなどの一般法人向けのvPro版という2種類の製品があり、通例ではまず一般消費者向けの通常版が発表/投入され、その後にvPro版が販売されるという流れ。 Core Ultraシリーズ2の場合は、昨年の9月にプレミアム薄型ノートPC向けのCore Ultra 200V(開発コードネーム:Lunar Lake)がまず発表され、10月にデスクトップPC向けのCore Ultra 200S(Arrow Lake-S)が発表、今回のCESにおいて、ゲーミングノートPC向けのCore Ultra 200HX(Arrow Lake-HX)、薄型ゲーミングノートPCおよびコンテンツクリエーションノートPC向けのCore Ultra 200H(Arrow Lake-H)、そして薄型ノートPC向けのCore Ultra 200U(Arrow Lake-U)が投入され、一般消費者向けのCore Ultraシリーズ2製品が出揃った(別記事参照)。 これに加え今回のCESでは、Core Ultraシリーズ2のvPro版が発表された。Core Ultraシリーズ1では、MWCでvPro版が発表されたので、Core Ultraシリーズ2では2カ月ほど前倒しされた形になる。ただvProに対応したバージョンが登場するのは、Core Ultra 200Vのみで、それ以外の製品(200S、200HX、200H、200U)に関しては第1四半期中にvPro対応版が発表される計画であることが明らかにされた。 vPro対応版には、大企業向けの「vPro Enterprise」、中小企業向けの「vPro Essentials」が用意されており、SKU(型番)によりどちらをサポートするかが異なっている。今回Intelが明らかにしたvPro Enterpriseに対応したSKUは以下の通りだ(200V以外は発表される予定の製品)。 ■ 新しいMITRE Mapping機能などによりサイバー脅威対策が強化される vPro対応Core Ultra 200Vでは、vProの機能が拡張されている。大きな機能としてはハードウェアセキュリティと管理機能の2つなのだが、どちらもアップデートが加えられている。 ハードウェアセキュリティに関しては、たとえば、「MITRE Mapping機能」がその代表例で、米国の非営利政府系機関「MITRE」が開発しているサイバー攻撃の手口を体系化したナレッジベースとなる「MITRE ATT&CK」を活用して、それをvProでサポートされるハードウェアセキュリティに割り当て、比較的新しいサイバー攻撃の手法であっても、検出して防ぐことを可能にする(Intelによれば、現時点では唯一の認定ハードウェアだとのこと)。 Windows 11のSecured-core PCやDefender、さらにはCrowdStrikeなどのセキュリティソフトウェアへのマイグレーションも進んでおり、攻撃者が持てないハードウェアセキュリティを活用することで、よりエンドポイントの安全性を引き上げられる。 また、vPro対応Core Ultra 200Vには、Intel Partner Security Engine(PSE)が内蔵されており、TPM 2.0互換のTPMとして利用できるだけでなく、Microsoft Plutonの仕様に準拠したセキュリティのマイクロコントローラとして動作するので、Windows Updateを通じて課題を解決したり、アップデートしたりということが可能になる。 Intelは、そうしたIntelのハードウェアセキュリティに対応したISVのセキュリティソフトウェアの対応を推進しており、脅威の検出機能などではMicrosoft DefenderやCrowdStrike、HP WolfSecurity、トレンドマイクロなどが対応しているほか、エンドポイントのデータ紛失防止ではTrendMicroとBufferzoneなどが、NPUを利用したフィッシング詐欺検出機能ではBufferzone、McAfee、TrendMicroなどが既に対応を明らかにしている。 ■ EMAの機能をクラウドベースにする「Intel Endpoint Cloud Services」、「Intel vPro Fleet Services」の提供を開始 管理機能関係のアップデートでは、Intel EMA(Endpoint Management Assistant)で実現される、端末のリモート管理機能のクラウド化がさらに強化される。EMAそのものはオンプレミスで利用するツールだが、近年はSaaSでリモート管理を実現するサービスにEMA相当の機能が実装されるようになり、企業のファイアーウォールで守られたネットワークの中だけでなく、ファイアーウォールの外側のゼロトラストな環境でも利用できる環境が実現されつつある。 今回Intelは「Intel Endpoint Cloud Services」、「Intel vPro Fleet Services」という2つのクラウドサービスの提供を明らかにしている。 前者はHP Workforce SolutionsやCrowdStrikeのSaaSなどを通じてvProのリモート管理機能にアクセスできるツールで、後者はMicrosoftのMDMであるIntuneを通じて、vProデバイスをリモート管理する機能になる。いずれも企業のPC管理者にとっては、非常にうれしい機能と言える。 今回のCESでは、こうしたIntelの発表に合わせて多数の一般法人向けノートPCが発表される予定になっており、Acer、ASUS、Dell、dynabook、HP、Lenovo、LG、MSI、Samsungなどから1月から順次出荷開始予定だとIntelからは発表されている。
PC Watch,笠原 一輝