映画「八犬伝」内野聖陽さんインタビュー 馬琴に寄り添う北斎、「実」が説得力を持ってこその「虚」
綿々と受け継がれる繊細な日本の芸と文化
――23年に公開された主演映画「春画先生」に続き、今回は浮世絵師と江戸時代の絵画に関する役が続きますが、興味を持ったことや面白いなと感じたことはありますか? 今の日本の漫画でも、筆で描いている漫画家さんたちってまだいらっしゃるじゃないですか。例えば「きのう何食べた?」もそうだけど、多分ほとんど一筆書きのような繊細な線で、心の微細な動きまで描かれているのに驚きますが、この文化はそもそも北斎さんからだよねと考えると、日本の漫画家さんの血はここから来ているんだと改めて思いました。 同じ絵でも、海外の水彩油画文化とは全く異なる文化じゃないですか。シンプルだけど繊細な日本文化は、今や日本人より海外の人の方が日本文化のことを認識して、評価していますよね。ネットでイメージをシェアするような世の中になってきましたが、それでも綿々と受け継がれている日本文化があるということは、昔の偉人のことを勉強すると余計に思います。僕たちの遺伝子の中には、僕たちが意識していないことがたくさん組み込まれているんだということに驚きました。 <内野聖陽(うちの・せいよう)さんプロフィール> 1968年生まれ、神奈川県出身。NHKドラマ「街角」でデビュー。近年の主な出演作に、「きのう何食べた?」(テレビ東京)、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」、「ブラックペアン2」(TBS系)、映画「春画先生」、舞台「Mバタフライ」「笑の大学」など多数出演。2021年に紫綬褒章を受賞。待機作に主演映画「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」(11月22日公開)がある。 公式HP https://www.uchinoseiyo.jp/ (文:根津香菜子)
インフォメーション
八犬伝 曽利文彦監督・脚本。山田風太郎「八犬伝上・下」(角川文庫)原作。149分。役所広司、内野聖陽、土屋太鳳、磯村勇斗、黒木華、寺島しのぶ、渡邊圭祐ら出演。2024年10月25日(金)公開。 公式サイト https://www.hakkenden.jp/ 公式X https://x.com/hakkenden_movie (C)2024『八犬伝』FILM PARTNERS.
朝日新聞社(好書好日)