元日本代表、廣山望が語る新生バルサへの期待
マルティーノ氏とは直接面識はないものの、パラグアイを含めた南米のフットボール、バルセロナ及びスペイン、さらにはヨーロッパのフットボール全般に幅広い知識を持つ廣山氏に、異色の経歴を持つ新監督に率いられるバルセロナの今シーズンを語ってもらった。 ――バルセロナの新監督にセロ・ポルテーニョを率いたこともあるマルティーノ氏が就任しました。 「ちょうど入れ違いでかぶってはいませんが、私がプレーした後にセロ・ポルテーニョの監督に就任して、チームをリーグ優勝まで導きました。メキシコを含めた中南米のチームは、ヨーロッパのチャンピオンズリーグにあたるコパ・リベルタドーレスがあるため、試合数が多くて過密日程なんです。そうした状況下で監督に求められる必要条件は、選手のやりくりであり、采配に冴えが効いているかどうかです。チームや選手をコントロールする、という点に長けていないと勝つことはできません」 ――新監督は南米出身で、ヨーロッパでの監督経験はありません。 「夢のある話ですよね。南米からバルセロナのようなヨーロッパを代表するビッグクラブへ監督として就任するのは。厳しい言い方をすれば、結果がすべてだし、守るものは何もない。ただ監督としては、パラグアイ代表監督として、前回のW杯決勝トーナメント1回戦で日本代表を下し、初めてベスト8へ進出させている。セロ・ポルテーニョ以外でもリベルタ、ニューウェルズ・オールドボーイズなどをリーグ優勝させている。勝ち方を知っている監督だと思います。監督としての実績を買われてヨーロッパのビッグクラブへ移籍するので、ぜひとも結果を出してほしいですよね」 ――バルセロナではどのような采配を期待しますか。 「高い位置からプレスをかけさせることは徹底すると思います。特にボールを奪われた後のプレスは厳しくやらせるでしょう。ただ、バルセロナのフットボールは失わないでほしいですね。南米の監督は才能を大切にしてくれるので、バルサの伝統であるポゼッションフットボールは継続させるはずです」 ――プレスをさらに徹底させることで、バルセロナの戦い方に変化は生じるでしょうか。 「高い位置からプレスをかけてボールを奪うことができれば、得点に結びつきやすくなる。効率が上がります。ポゼッションで相手を上回っても得点に結びつくまでに時間がかかっていたのが、これまでのバルセロナでしたから」