30歳で離婚後、婚活するも...人生で一番ヒドイ仕打ちを受けた彼氏のこと【フリーアナウンサー住吉美紀】
何事も、やると決めたら、徹底的に行動するほうだ。まず、出会う人の中で多少でも素敵と思える上、指輪をしていない人を探すようになった。当てはまる人はなかなかいなかったが、もしもいたらメールをして、理由を見つけてお茶や食事に誘ってみる。 一度、自分で笑っちゃったことがある。ラジオのゲストに来た方が該当したため、 「御本を拝読しました。感想をお伝えしたいですし、お食事しませんか?」とメール。その返事に驚いた。 「すみません……先に申し上げます。最近婚約しまして、もうすぐ結婚するんです」 ええっ? ていうか、私は、そういう意味で気になっていますとも、何も言っていないのに、なぜその返事? 質問と答えがかみ合ってませんけど! よっぽど私から何かしら“圧”を感じたのか。自分で笑ってしまった。バレてしまえば取り繕っても仕方がない。「なーんだ、残念、お幸せに!」と返事をした。 そんな中、とある食事会で出会ったのが、A氏だった。紛れもなく、これまでの人生で、私が一番ヒドイ仕打ちを受けた彼氏。外資系のエリートビジネスマンだったA氏は、人当たりがよく、博識で社交的。海外経験も豊富で、食べることも大好きで、気が合いそうかもと思った。 食事会のお礼のやり取りから、食事に行きましょう、とトントン拍子で話が進んだ。選ぶレストランやバーはいつも大人な雰囲気で、私はこれまでになくオシャレをしてデートに臨んだ。 数回食事をした後、「週末、日帰りで出かけよう、車で迎えに行く」と言われ、どこに行くのかな、せいぜい箱根かな、と思ったら、着いた先が羽田空港。なんとサプライズで、飛行機で金沢にお鮨を食べに行こう、というのだ。ええっ! 日帰りで? 飛行機で? お鮨?! そんなことしたことがなかった。まるで映画のワンシーン。雲の上を歩くようなフワフワした気持ちで計画に乗った。その日から完全にほだされ、私はA氏と真剣に交際したい、と思った。 お互いアラフォーだし、そのまま、結婚の話になっていくだろう、と勝手に思っていた。どうやら家族は欲しいことも、それまでの会話でわかっていた。 しかし、いつまで立っても関係が、薄っぺらいまま。“食事の後、タクシーで送ってもらってまた来週”的な関係から進まない。先の話をしても、のらりくらり。 次第に、仕事を盾に、人としてのリスペクトを感じない扱いが続くようになった。
住吉 美紀