30歳で離婚後、婚活するも...人生で一番ヒドイ仕打ちを受けた彼氏のこと【フリーアナウンサー住吉美紀】
フリーアナウンサーの住吉美紀さんが50代の入り口に立って始めた、「暮らしと人生の棚おろし」を綴ります。 【画像】最悪の旅の思い出写真と、婚活していた頃の住吉美紀さん 前回まで、トライアンドエラーで到達した、50代の働き方について棚おろししてきた。次に、人間関係に目を向けてみようと思う。私にとって、夫をはじめとする家族は、人生の基盤ともなる大切な人間関係だ。しかし、その夫との暮らしを築き始めるまでに、ものすごい道のりを経てきた。そこから棚おろしを始めたい。 どちらかというと、人の悪いところよりも、良いところを見つけるのが得意な質で、若い頃は惚れっぽかった。あの人のここが尊敬できる、と自分にはない素質に憧れる気持ちで恋をしてきた。恋愛というものは、人と必要以上に関わり、時にとても面倒くさいが、それを厭わず人と付き合ってきたおかげで、経験と鍛錬を積めたとも思う。 「いつも私がお金出しているからここは出して」と言って「出せると思っているのか」と逆ギレされたこともあるし、別れる話し合いで揉めて警察を呼んだこともある。いろんな人がいるし、人のいろんな面を見て、自分も人として成長してきた。 それに私は毎回、恋愛にものすごく真剣だった。早く結婚がしたかったのだ。両親の仲が良く、とても楽しい家族の中で育ったから、自分も早く家族が欲しかった。 30歳直前で結婚、すぐに離婚。誠実で真面目で、素敵な人だった。しかし、結婚が「人と人の違いを受け入れ合う人生修行」のようなものだという覚悟が、30歳そこそこの私にはまったくもって足りなかった。本当に申し訳なかったと、今も思う。 その後、もう結婚はいいかも、と思うようになった。フリーランスになるまでは。 フリーになって、180度気持ちが変わった。NHKにいた頃は、毎晩遅くまで職場にいるのが当たり前で、「コンビニの新しいお菓子食べた?」とどうでも良い話ができる同僚も、「今日ご飯食べて帰る?」と急遽連絡できる局内の友達もたくさんいて、さみしいと思ったことがあまりなかった。 しかし、フリーになると、そもそも毎日同じ場所で一緒に過ごす同僚がいない。職場から職場を渡り、仕事をして、すぐ帰る。ある意味、無駄がない。しかし、特に初期は仕事でうまくいかないことばかりで、疲労と落ち込みを抱えたまま帰宅した。家にその日の仕事の話を聞いてくれる人もいなければ、どうでも良い会話で気分転換をする相手もいなかった。組織に所属せず、自営で仕事をするって、こんなにも孤独なのか。そして、はたと気づいた。NHKの同僚たちは、私の家族同様だったのだと。 そこから改めて、もともと私の中にあった気持ちがむくむくと立ち上がった。 家族が欲しい。人生を分かち合うチームが欲しい。パートナーが欲しいし、できれば、子どもも欲しい。“婚活”という名のトライアンドエラーが再び始まった。