総務省が下取り価格規制、「お試し割引」やミリ波向け割引拡大も――26日にガイドライン改正
総務省は、携帯電話の割引に関するルールなどを定めた「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」の改正案に対するパブリックコメントの結果を公表するとともに、同ガイドラインを12月26日に改正する。 【画像】ソフトバンクによる意見 今回のガイドライン改正では、通信事業者が端末を下取りする際の価格を、リユースモバイル・ジャパン(以下、RMJ)の買取価格を基準とするほか、契約から半年間限定の「お試し割引」の提供を認めるほか、ミリ波対応機種向けの割引上限の拡大(制限の緩和)などが含まれる。 ■ 中古端末の買取価格はリユースモバイル・ジャパンを基準に 通信事業者が端末を下取りする際の「買取等予想価格」について、従来は通信事業者が独自に算出して設定することを認めていたが、これをリユースモバイル・ジャパンが定めるものに統一する。 具体的には、「買取等予想価格」について、その算出式を「端末の販売価格×残価率×その他考慮事項」に定め、残価率については「発売からnか月目の買取平均額÷各電気通信事業者における販売当初の販売価格」で求める。この残価率の計算に用いる「発売からnか月目の買取平均額」は、リユースモバイル・ジャパンのWebサイトで公表される買取平均額を用いる。 ガイドラインの改正によって、いわゆる「レンタル月1円」のような形で、一定の期間経過後に端末を返却することで利用者が負担する料金を軽減する販売手法が難しくなることが予想される。 買取等予想価格の算出にリユースモバイル・ジャパンが公表する買取平均額を用いるガイドライン改正には、通信事業者からの反対意見もある。たとえばソフトバンクでは、RMJが公表する買取平均額のデーターに恣意性が含まれる懸念が払拭できないことや、公表される買取平均額が一般的な買取平均額と言えるだけのシェアを有するのか不透明であるとし、買取平均額にフリマ市場における取引価格を用いることを要望している。 ■ 「お試し割引」を認める 今回のガイドライン改正では、継続利用を条件としない通信料金の割引、いわゆる「お試し割引」が条件つきで認められる。 その条件は、割引の合計額が税別で2万円以内であること、割引の期間は最大で6カ月であること、割引が適用される回数が同一事業者の同一契約者において1回のみであること。 割引回数は契約者の名義によって判定され、「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」(不正利用防止法)で義務付けられた本人確認記録の保存期間(役務提供の終了日から3年間)の範囲で照会される。 また、通信事業者が複数ブランドでサービスを提供している場合には、ブランドごとに割引を提供することは禁止される。割引の実施にあたって、割引期間が一定期間であることや、割引期間の終了前に、割引が終了する旨を周知するなど、利用者が契約内容を適切に理解できるような取組が求められる。 ■ ミリ波対応機種は最大約6万円割引可能に 5Gのミリ波対応機種について、現状では4万円(税込4万4000円)までの割引上限を、定価の50%を超えない範囲で5.5万円(税込6万500円)に緩和することでミリ波対応機種の普及を促進する。 改正にあたっての考え方では、ミリ波対応機種の普及率がストックベースで50%を超えた場合には特例を終了する方針が示されたが、ガイドラインでは「当分の間」とされ、特例の終了に関する具体的なしきい値は盛り込まれていない。
ケータイ Watch,島田 純