豪雪地帯の大学でも「春の優勝」を 片道10時間半バス移動も…ハンデ克服のため増やした“冬の実戦”
負の連鎖からはなかなか抜け出せず、秋は開幕6連敗。シーズンをまたいで12連敗と苦しい戦いが続いた。終盤は本来の力を発揮し、勝率で並んだノースアジア大学にプレーオフで勝利して1部・2部入れ替え戦は免れたものの、5位は三浦監督いわく「歴史上、記憶にない」順位だった。 「オープン戦もリーグ戦のスタートもよかった中で、八戸学院大戦を落としてガクっときてしまった。冬から取り組んできた成果が出ていたからこそ『あれ?』『どうしよう』と私が焦って、やること全部が噛み合わなくなった。それが選手たちの迷いを生み、開き直るまでに時間がかかって秋までぬぐいきれなかったんだと思います」。三浦監督はそう自責の念を口にする。
指揮官が“実戦経験”大切にするもう一つの理由
それでも、現時点では一度決めた方針を再び変えるつもりはない。昨春、確かな手応えをつかんだからだ。昨年は11月に3週連続で仙台大と練習試合を組み、12月には2年連続となる関東遠征を行って慶應義塾大学、駿河台大学と対戦した。関東遠征は埼玉にある駿河台大学野球場で実施。この時は授業後の午後11時に出発し、バスで約10時間半かけて移動した。 また実戦は「ハンデ」を覆すためだけにあるのではない。三浦監督は「冬の時期に実戦をやることには賛否両論あって、『意味がない』と言われることもありますけど…」と言いつつ、「うちは高校までの実戦経験に乏しく自信を持てていない子が多いので、大学では成功も失敗もできる限りさせてあげたいんです。12月の2週目まで野球をやらせてあげることが、彼らにとってのプラスになると信じています」と力説する。
北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から選手が集まる青森大。その多くは三浦監督が他大学との競合を避けるため「発掘」してきた選手で、大舞台を経験していないどころか自チームでレギュラーを奪えなかった選手もいる。だからこそ、リーグ戦にとどまらない実戦経験を積ませたい思いがある。平日は室内練習場で週末の試合に勝つための方法を考えながら練習し、週末は遠方に赴く。そんな冬の日々が成長につながる。