命に関わる「食物アレルギー」の危険性…発症のリスクを回避するための注意点を専門家が解説
◆曖昧な回答や判断は“NG”!
外食・中食の責任者や従業員の方々が、食物アレルギーのリスクを回避するために気を付けたいポイントは「最新で正確な情報を提供すること」です。そして、最も避けたいのは“曖昧な回答や判断をすること”です。 宇野さんは、「分からないときは『分かりません』と答えるほうが、食物アレルギーを持つ患者さんやご家族にとっては親切な対応です。“分からないのであれば食べない”という判断がすぐにできるからです。しかし、分からないで確認しないまま“入っていない”と答えたり“大丈夫だと思います”などと曖昧に答えてしまうと、誤った判断をする可能性も出てきてしまいます」と解説します。 例えば、外食経験が乏しいまま成長した子どもが友人同士で外食したとき、店員からの曖昧な回答で“大丈夫だ”と判断してしまうおそれがあります。食物アレルギーに関しては最新で正確な情報提供が重要事項であり、曖昧な回答は控えることが最適とされます。 さらに、宇野さんは「ほんのわずか食べただけでも発症してしまう方に向けては、アレルギーの原因となる食べ物がメニューに使われていなかったとしても、他の調理過程で意図せず混入してしまう可能性もあることをきちんと伝えることが大切です」と声を大にします。 ここで、食物アレルギーに関する知識が不十分で起こった事故の一例を紹介。例えば、脱脂粉乳が牛乳から作られているとは知らず、牛乳アレルギー患者に提供してしまったケースや、落花生とピーナッツが同じものだと知らずに提供してしまい、事故が発生したケースなどがあります。 また、作り直しをせずに提供したことで事故が生じたケースも。卵アレルギーであることを伝えたうえでオムライスを注文したところ、上の卵が取り除かれていない通常のオムライスが到着。作り直しを要求しましたが、店側は作り直しをせずにオムライスの卵を外して提供した結果、残った卵を食べた患者がアナフィラキシーショックを起こしました。 こうしたケースからも、飲食店の責任者は食物アレルギーに関する正しい知識を学び、従業員と一緒に調理工程や接客方法などにルールを設けて、従業員全員がルール通りの対応を徹底することが大切です。