高齢化・老朽化団地の理事長決めは理不尽な押し付け合いと心理戦の連続! ベテランと新世代の対立も表面化【ポンコツ理事長奮闘記2】
【ベテラン理事の謎ムーブ①】 「え~! 理事長なんて……」とつっぷしたのは女性理事Iさんでした。すると最年長理事Eさんが優しく声を掛けました。「もう1回引いたらええ」。 くじ引きの袋にはIさんが戻した「理事長」のくじ、そして「建物設備」のくじ、この2本が残されています。この場に現れなかった2名が「理事長」と「建物設備」を受けるのでしょうか? そこへ勢いよく入ってきたのがあやうく欠席になるところだったA君です。何も知らされず、ふいをつかれて、かなり怒っている様子。部屋に入ってくるなり、「俺は賃貸やから理事やらんでええやろ!」と言い放ちました。 穏やかだった場の空気は一変。ベテラン理事たちは凍り付いてひと言も発しません。 沈黙を破ったのは私でした。ライターという職業柄、初対面の人と話すのは慣れています。 私「あのぉ……お、お名前は?」 彼「……A」 ベテラン理事Kさんが加勢してくれます。 Kさん「え?Aさん?……じゃあ、お兄ちゃんのほう?」 Aさん「……弟」 Kさん「まぁ、こんなに大きくなって! 昔はよく芝生の上で遊んでいたわね? ご家族のみなさん、お元気?」 Aさん「うん」 幼いころの彼を知っているKさんは、すっかり母親の眼差しに変わっています。対する彼もぶっきらぼうながらちゃんと返事をしている……団地のコミュニティは今も健在でした。 私「お仕事は何を?」 Aさん「大工」 私「じゃあ蛍光灯は変えられる?」 Aさん「うん」 私「建物設備理事が残ってんねん。大工さんやったらぴったりやわぁ」 Kさん「いや~ほんまやわぁ」 凍てついた空気をお母さん理事の優しい笑顔が溶かし始めていました。建物設備担当はAさんが引き受けてくれそうです。
最年長理事から「あんた理事長やったらええやん」と無茶ぶりが!
場の空気はなんとか持ち直しましたが、最後に残された理事長の役を受けるという声は相変わらず上がりません。 【ベテラン理事の謎ムーブ②】 「これからは女性の時代や!」 最年長理事が突然、「理事長はあんた(私のこと)がやったらええねん」と言い出しました。 「女性の時代」を唱えるなら、なぜ女性理事Iさんの引いた理事長くじを戻させたのか? 最年長理事の発言が大きな矛盾をはらんでいたにもかかわらず、突然の謎ムーブに動転した私はその矛盾をスルー。ひたすら新たな突破口を見出そうと焦っていました。
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