街頭でいきなり「金を出せ」 ナイフで刺される事件も…2度目の南米挑戦で直面した異例環境【インタビュー】
ボリビアで2度目の南米挑戦、標高2800メートルの環境も経験
パラグアイ、ボリビアでプロサッカー選手として活躍したピン芸人のマリンボブ氏(本名:松本磨林/吉本興業)は、南米サッカーをリアルに体験した1人だ。パラグアイでの活動に区切りを付け一時帰国したが、なぜ今度はボリビアへと渡ったのか。本人の素性にも迫っていく。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也/全4回の3回目) 【実際の映像】マリンボブの“南米サッカーあるある”「パラグアイで長年プレーしていた男が日本で審判をやったら」 ◇ ◇ ◇ パラグアイへ渡り南米初挑戦。そのなかで南米の荒々しいサッカー文化を学ぶ。相手をあわよくば怪我させてしまうような…危険なプレーがスタンダードだった。その後リーグの年齢制限の関係から、マリンボブ氏は一度日本への帰国を決意する。当時まだ23歳だったが「もう引退かな」となんとなく思っていた。その思いを抱えて実家に帰ると、両親から「今度はどこにサッカーしに行くんだ?」と質問される。 「まだやると思われているんだ。じゃあ、もう少しやってみようかと思い直しました」 そこからの行動は早かった。パラグアイでスペイン語を覚えていたこともあり、スペインのチームを斡旋してくれる会社に電話をした。だが電話した時、ふと思う。「やっぱりもう一回南米に行きたいな」。スペインに行く予定を急遽変更し、「南米紹介してください」と頼み込む。畑違いの質問に相手も戸惑ったが、担当者の友人にボリビア在住の知り合いがいた伝手から、新たな舞台での現役続行を決めた。 ボリビアのサッカーは1部があり、その次から州リーグが枝分かれしている。マリンボブ氏が最初に入団したのはボリビアサンタクルス州2部サンマルティンだった。州の1部に上がれば全国大会に出場でき、優勝したチームは1部昇格を勝ち取ることができる。そんな国のサッカーについて率直にマリンボブ氏は「少し日本に似ている」と感じたようだ。 「意外とボール持ってもガッと来ない。ボリビアってボールが持てる、トラップができる国なんだって最初思いました。まずはそこが嬉しかったですね。ボリビアは普通にサッカーを楽しめました。パラグアイとは違って戦争ではなかったです」 プレー面ではまた違ったレベルで楽しめていたマリンボブ氏。だが場所ごとに標高の差が激しく、3クラブ目の在籍となったチュキサカ州1部デポルティーボ・アレマン・デ・スクレは標高2800メートルの環境下だった。最初の1か月は「歩いているだけしんどかった」と当時を振り返るなか、それも次第に身体が適応していった。