がん宣告から8年―竹原慎二「人生の楽しみ方をはき違えていた」闘病生活を経て気づいた大切なこと
限られた人生、すべてを楽しんでやらなきゃ損
――闘病を経て、人生観は変わりましたか。 前向きになれましたね。もともと僕はネガティブ思考。それが俄然アクティブになりました。がんになって死を宣告された。結局、人間はいつか死ぬとあらためて知ったわけです。しかし偶然かもしれないけれど、それでもこうして生き延びている。それも限られた時間、限られた人生の残りです。だったらこれからはすべてを楽しんでやらなきゃ損だなって思いました。面倒くさいなあと思うような仕事があったとしても、嫌々やったら時間の無駄。楽しみながらやったほうが得ですよね。だから苦手な仕事でもいまは楽しんでやっていますよ(笑)。 自分が現役時代、僕は勝つか負けるかしか頭になくて、とにかく無我夢中でした。強ければ何やったっていいんだという独りよがりの考えもありました。ファンレターに「竹原さんの試合を見て励まされました」と書いてあっても、さっぱり意味がわからなくて、なんで俺の試合見て励まされるのかなって思っていたくらい。でもいま、年を取ってわかるのは、やっぱり頑張っている姿勢が大事なんだなと。殴られてダウンしそうになっても、もしくはダウンしたときも立ち上がって一生懸命、反撃する。そういうのを見ると、人は自然と励まされる。スポーツってそういう感動があるんだなって思います。 『ガチンコファイトクラブ』でもそうでしたけど、練習生でも、いい加減で強くて生意気なやつよりは、負けてもいいから頑張る子を応援しますね。その子にチャンスを与えたいですね。屁理屈ばっかり言うやつはその程度。やっぱ頑張る子ですよ。一生懸命さが気持ちを動かすんだなと思います。 ――今後やりたいことはありますか? やりたいことは結構やっているかもしれません。今のモットーは楽しみながら生きること。広島の不良少年が成り上がってきたのが自分。ここまで頑張ってきたご褒美という意味で、最近千葉・九十九里浜に小さな別荘を買いまして、週末は女房と二人で泊まりに出かけます。そこで夫婦でゆっくり過ごすのが何よりも楽しみですね(笑)。 ----- 竹原慎二 広島県出身。1995年、日本人として初めてミドル級世界王座を獲得。引退後、タレント・俳優として活動する。また、ジム運営や商品プロデュースなどでも活躍。自身のYouTubeチャンネル『竹原テレビ』にて動画を配信中。