【高校サッカー選手権】受け継がれる強さの伝統 国学院久我山が4年連続決勝進出へ
第103回全国高校サッカー選手権東京予選2次予選Aブロック準決勝2試合が11月9日、味の素フィールド西が丘で行われた。 【フォトギャラリー】関東一 vs 國學院久我山 13時キックオフの第2試合。T2リーグの関東一とプリンスリーグ関東2部の國學院久我山との対戦は3-1で國學院久我山が勝ち、決勝進出を決めた。 先制は國學院久我山。前半10分、MF14近藤侑璃(3年)、MF18田島遼太郎(2年)とつなぎ、最後はMF6村瀬悠馬(3年)が決め、1点目。続く23分、FW11坂東輝一(2年)のスルーパスに反応したFW9前島魁人(3年)がGKと1対1になりながら冷静に決め追加点を挙げた。 FW9前島は「坂東に渡ったところで相手の裏が空いていたので、走りこみました。ボールが来るかどうかに関係なく、自分が狙うことが大事。しっかり流し込めました」と振り返った。さらに前半終了間際、40+1分にはDF2 安部凛之介が直接FKを決め、3-0で折り返した。 後半、ゲームを優勢に進める國學院久我山。サイドから中央からと追加点を狙いにいくなか、関東第一は右サイドを起点に攻撃を展開した。そのなか迎えた後半20分、ゴール前、こぼれ球を拾った途中出場のMF16前迫健太(2年)がゴールを決め、1点返すと、試合はオープンな展開に。それでも國學院久我山の攻勢は続き、2点差を守り、勝利を収めた。 「自分たちの持ち味を出して、良いゲームをしてくれました」と國學院久我山の李済華監督。 双方ともにボールをつなぐチーム。やりづらさはあったはずだが、どこで勝敗がわかれたのか。 李監督は「選手には指示をしていませんが」と話したうえで「ボールにあまり食いつきすぎず、それでいて深いところまでボールを持たせない。そうした微妙な駆け引きを選手たちはうまくやってくれました」と明かした。 主将MF14近藤は「意識していたのはボールを持たれる位置。相手のセンターバックが低い位置でボールを持ったときは追わず、縦パスが入ったときには一気に奪いにいく、その共通意識がありました」 と説明。このメリハリが功を奏し、統率した戦いができたと言える。 そして後半20分の失点後のゲーム運びは落ち着き払っていた。 「失点してから崩れなかったのが良かった。残り20分前後の時間をうまくコントロールできました」(李監督) 「慌てず、自分たちのサッカー、焦らずにやることが大事。点を取られたときに『大丈夫』と声を掛けたことが落ち着きにつながりました」(MF14近藤) 自主性の高さ。選手個々、そしてチームの成熟度を感じられる。だからこその4大会連続の決勝進出。 どんな強いチームでも毎年、選手は変わり、全く違うチームで戦う。それが高校サッカーの面白みであり、難しさでもある。強豪ひしめく東京で勝ち上がり続けるのは至難の業と言える。 それでも なぜ、できるのか。そのヒントを李監督は話す。「(國學院久我山の場合は)勉強もサッカーもしっかりやっていく。そしてサッカーではエキサイティングでテクニカルなサッカーを目指しています。この2つをいつも久我山の選手たちに求めています」。長年、培ったチームのあるべき姿、あるいは伝統というべきか、それらが受け継がれ、息づいているからだ。 2年ぶりの全国行きを目指す國學院久我山。決勝の相手は帝京。 「個人的にはライバルという意識はあります。ほかのチームとはひとあじ違った強さやうまさがあります。超えないと全国にはいけないので、自然と気持ちが入ります」(MF14近藤) 「ライバルというのはおこがましいですが、それでもライバルとして注目度の高いカード。意地の見せどころとなる試合になります」(李監督)。 Aブロック決勝は16日、駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で行われる (文・写真=佐藤亮太)