【令和の岩倉使節団】がアメリカで見たものとは何か?
『Wedge』2024年8月号(7月20日発行)では「Japanese, be ambitious ! 米国から親愛なる日本へ」という特集を組み、アメリカ社会で活躍する様々な日本人や外国人の日本研究者らに取材しました。 【写真】「令和の岩倉使節団」がアメリカで見たもの 「バブル崩壊以降、経済が低迷し、自信を失いつつある日本人が改めて『大志』を抱き、一歩前へ踏み出す勇気を持ってもらいたい」という我々編集部の願いのもと、今年5月、アメリカ横断取材し、制作しました。 雑誌発売後の7月24日、日本橋浜町の「ハマハウス」にて、月刊『Wedge』編集長の大城慶吾と、弊誌連載『モノ語り』の筆者で、アメリカの飲食業や大リーグの球場運営などを情報収集するため、我々の取材に同行したgood mornigs社代表の水代優さんによる現地取材報告会を開催しました。その時の様子をお伝えします。
令和の岩倉使節団
水代 なぜ今回、このタイミングでアメリカに取材だったのでしょうか? 大城 私が編集部に復帰したのはコロナ禍の2020年7月でした。その後、アメリカ社会で活躍する様々な日本人の方が一時帰国した際、会える時には必ず会うように心がけていました。現地の情報を知りたかったからです。その際、よく言われたのが「アメリカのことは日本のメディアの情報を見ていても分かりません」「アメリカ社会で起こっている変化をぜひとも皆さんの目で直接見てください」ということでした。話を聞けば聞くほど、アメリカに行きたいという思いが強くなっていましたが、コロナ禍のため、ずっと足止めされていました。 転機になったのは、2023年12月。今回の特集でもご紹介していますが、シリコンバレーで活躍し、カーネギー国際平和財団シニアフェローの櫛田健児さんに東京でお会いしたことです。その時、櫛田さんからこう言われたんです。 「アメリカから日本人、日本企業に伝えたいのは『できるよ』ということ。そのことを現地で取材し、伝えてほしい」と。それで、手前味噌ながら「令和の岩倉使節団」として、現地の様子を自分たちの目で見て、『Wedge』の誌面を通じて伝えよう」と決意したんです。 水代 まず、我々が向かったのが、シリコンバレーの南に位置するサンノゼでした。いたる所でテスラが走っているという印象でしたね。 大城 そうでした。ただ、アメリカ人の中には「アンチ、テスラ」、「アンチ、イーロン・マスク」がいるそうで、そうした人たちからは「テスラでなく、韓国の現代自動車でもなく、トヨタにEV(電気自動車)をつくってもらいたい。でもプリウスしかなくて困っているという声があがっている」という話を聞きました。 ただ、日本ではEVの善しあしについての議論が盛んで、「EVの充電には時間がかかる」「充電ステーションが少ない」などのイメージを持つ方が多いように思います。ただ、現地に行くと、充電時間が1時間にも満たない急速タイプと、8時間ほどかけてゆっくり充電するタイプの2種類のステーションがあり、多くの方は「使い分け」をしていると聞きました。前者はちょっとした買い物の途中で、後者はオフィスで朝から夕方までの仕事中に充電するという形です。大きな支障はないということでした。 櫛田さん自身、テスラのEVに乗られていて、車内モニターでマップを見せてくれたのですが、全米中に充電ステーションが設置されており、このルートで行けば、西海岸のサンフランシスコからから南部のフロリダまで全米を横断できるというものでした。 充電ステーションがあらゆるところにあり、すでに全米を横断できるような環境がアメリカにはある、ということが今回行ってみて、初めてわかりました。