AIに仕事を奪われないために必須の「3つのスキル」
2024年2月に発表されたGallup(ギャラップ)の調査によれば、推定22%の労働者が、AIに仕事を奪われるリスクを恐れている。さらに、フォーチュン500企業の最高人事責任者の72%が、AIは実際に、今後3年以内に自社の職務を置き換える可能性があると予測している。 ギャラップの分析によると、こうした恐れは、「この新技術によって現在の職務がなくなってしまうのではないか」という不安に加えて、FOMO(fear of missing out:取り残されることへの不安)、つまり、AIを活用した仕事の需要に応えられるスキルがないために取り残されることへの不安によって裏打ちされている。 こうした恐れは理解できるものだが、あなたは完全に無力というわけではない。 窮地に追い込まれる可能性を減らし、キャリアを強化し、将来に備えるためにできることがある。例えば、Indeed(インディード)が『Future of Work Report 2024(仕事の未来リポート2024)』で実施した調査では、米国企業で働く人の約45%が、テクノロジー主導の労働市場で競争力を維持するためにスキルアップを行なったと回答している。 また、回答者の40%は、全く異なるキャリアを持つ従業員が、キャリアの後半になって新しい業界に入るのを見たことがあると述べている。 例えば、より高度な専門性が要求される高収入のスキルを身に付けるため、今から時間をかけることもできる。 さらに、AIによっては代替できないスキルとは何かを見極めるべきだ。なぜなら、そうしたスキルは、あなたが素晴らしいキャリアを歩み、出世の階段を上ったり、現在の仕事とは無関係に、キャリアを方向転換したりするのに役立つからだ。そうしたスキルがあれば、他の求職者と差別化を図ることができ、昇給や昇進、あるいは、フリーランスとしての仕事獲得に有利になる。
2024年に最も求められるスキル
これらのスキルはさまざまな文脈で応用できるため、たとえあなたの仕事が時代遅れになっても、他の仕事に転用することができる。だから、そうした能力を今、示し始めることが大切だ。 ■1)問題解決スキル 問題解決は、AIで完全には再現できないものだ。問題解決や分析にAIを活用する方法やツールは数多くあるが、問題解決スキルは依然として人間の特権だ。LinkedIn(リンクトイン)の『2024 Most In-Demand Skills(2024年に最も求められるスキル)』リポートでも、このスキルセットが挙げられている。 なぜなら、AIは論理的に考え、データを引き出すことはできるが、創造性や、既成概念にとらわれないアプローチは得意ではないためだ。そこがあなたの出番だ。 ■2)パーソナルブランディングのスキル もう一つの注目スキルは、パーソナルブランディングのスキルだ。パーソナルブランディングとは、簡単に言えば、あなたがあなた自身の広報担当者になることだ。 仕事やビジネス、ソーシャルメディア、ネットワーキングイベントなどで自分を演出すれば、自分の仕事やビジネスにおいて、その見せ方によって、業界内であなたの印象を意識的・意図的に操作できる。 パーソナルブランディングのスキルを身に付ければ、たとえあなたより経験のある人がライバルでも、あなたを差別化する強力なツールになる。自信を持って自分を売り込み、パーソナルブランドを確立することで、利害関係者から顧客、雇用主まで、他者からの信頼を高めることができる。その結果、本来閉ざされていた新しいビジネスやキャリアの機会が開かれる。 ■3)コミュニケーションスキル コミュニケーションスキルは、リンクトインの『2024年に最も求められるスキル』の筆頭に挙げられているが、これにはもっともな理由がある。 リモートワークやハイブリッドワークが増加し、AIツールの活用が進み、さらに、多様な世代が一緒に働く今、透明性が高く、コラボレーションを促進するコミュニケーションを実現するには多くの障壁がある。 時間をかけてコミュニケーションスキルを磨き、アクティブ・リスニングや共感を習得し、適切なコミュニケーションツールで簡潔かつ明瞭にメッセージを伝える方法を学べば、有能なチームメンバーとして存在感を示すことができ、リーダーやマネジャーとして成功することができる。 コミュニケーションスキルがあれば、昇給を求めて交渉したり、チームの士気とパフォーマンスを高めたり、誤解を減らしたり、利害関係者の賛同を得るためにアイデアを伝えたりできる。これは磨く価値のあるスキルであり、昇給や収入増とどう相関しているかは一目瞭然だ。 AIを活用したメールサービスなど、AIツールがコミュニケーションを洗練させるのに役立つのは間違いない。しかし、このようなツールに頼りすぎることで、日々のオフラインでのコミュニケーションが下手にならないよう注意する必要がある。 AIに仕事を奪われることを心配すべきだろうか? おそらくそうだろう。では、キャリアそのものや、高収入を得るチャンスを奪われることを心配すべきだろうか? いや、その必要はないはずだ。
Rachel Wells