カラスの“いけにえ”!? 「近づいたらあんな目にあうぞ!」←カラスの気持ち
ある日、畑の近くを歩いていると、なにかがぶら下がっている……。鳥の形をしているけど、羽ばたいている姿やなくて、羽を閉じたままプラァ~とぶら下がっているんです。 【写真】現代のカラス避けアイテム! “見せしめ”で農作物を守る 正直、あまり気持ちの良いもんではないような不気味な感じ。「黒い鳥やからカラスかな?」と思わせるような物体が、畑に何体かぶら下がっているんです。 首あたりから羽を閉じたままぶら下がっているものもあれば……。うわぁ、逆さになってるやん! しっぽからぶら下げられているもんもあります……。なんかこわい! 「これは一体なんやろか?」と思い、畑で作業をしているおっちゃんに聞いてみましたら、「ああ、これはカラス避けや。いわゆるカカシや」と言うんです。 防鳥具というといろいろあって、キラキラ光るテープや作物全体に被せる網、大きな鳥の形をした凧が風で羽ばたくなどでビビらせるというのは知ってますけど……。 こんな、不気味にプラァ~とぶら下がっているもんでカラス避けになるのかと疑問に思ったのですが、おっちゃんいわく、「うちでは効果あるで」とのこと。 詳しく聞いてみますと、このカラス避けは大昔から存在するのだそう。その昔は、本当のカラスを捕まえてぶら下げたりくくりつけたりして、「畑荒らししたらこうなるんや!」とカラスたちに見せつけていました。 すると、カラスは頭が良いので「ここに近寄ったらあんなことされる!」と思いこわがって近づかんようになるんです。つまり、見せしめによる“いけにえ”防鳥対策をしていたそうです。 現在は、鳥獣保護管理法により禁止されているため、野生のカラスを捕まえたり殺生をしたりしてはいけません。そのため、この人形のようにカラスの代わりにぶら下げてビビらせる商品がいろいろとあるそう。メーカーに聞くと、もっとリアルな黒い毛が全身についたカラスの人形もあるのだとか。 ところが、農作業をしているおっちゃんは「カラスって頭がええから、人形やってわかったらまたすぐに来よるからな」とひと言。 なんでも、同じ場所、同じぶら下げ方をしているとすぐに人形だとバレてしまうのだそう。 おっちゃんは、「新たな見せしめパターンをカラスに見せつけなあかんねん」と鬼気迫る表情をしながら人形を取り外します。 「こうやって、こうして……」 ぶら下げ方を変えたり、人形を棒で突いたり、網で人形を捕まえるフリをしてロープでぐるぐる巻きにしたり……。数々の“見せしめ小芝居”を見せてくれました。 その姿からは、「自分が手塩にかけて育てた野菜をカラスにやられてたまるか!」という強い思いが伝わってきます。 カラス避けのための“見せしめカラス”の効力もすごいけど、おっちゃんの演技力もカラスをかなりビビらせているな、と感じました。 ※ラジオ関西『バズろぅ!』2024年10月19日放送回より (『バズろぅ!』ラジオパーソライター・わきたかし)
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