辛酸なめ子が伊東の「断食」道場に入門!2日間にんじんジュースだけで過ごした効果は
えっ、にんじんジュースが1日3回だけ?
乱れた食生活を整え、体のリズムを正常にする効果が期待され、近年注目を集めている「断食」。偏食が激しい上に、甘いカフェラテやドーナツなどに手を出してしまうことに罪悪感を覚えているというコラムニスト・辛酸なめ子さんが、静岡県伊東市にある断食施設「ヒポクラティック・サナトリウム」(石原結實院長)を体験取材しました。偏食で、白砂糖の入ったお菓子が好きな記者も同行。“偏食きょうだい”による2泊3日の断食体験をリポートします。(読売新聞メディア局 市原尚士) 【イラスト】辛酸なめ子、人気モデルの裸体に描かれた「スプレードレス」を再現 断食初日、JR東京駅・午前9時発の特急「踊り子1号」に乗車した辛酸さん。頭の中は、断食への期待と不安でいっぱいです。 車中では、不朽の名作漫画「ガラスの仮面」の主人公・北島マヤが、小道具のまんじゅうを嫌がらせで泥にすり替えられたにもかかわらず、いかにもおいしそうに食べて迫真の演技力を見せつけたシーンを思い出していたそう。 「空腹に耐えかねて、私もマヤのようにサナトリウムの庭の泥を食べてしまうかもしれません」とちょっぴり浮かぬ顔を見せます。 JR伊東駅で降り、車で約20分。広大なゴルフ場が隣接する自然豊かな環境に立地するヒポクラティック・サナトリウムに到着しました。 時刻はもう正午、朝食を抜くように指示されていたので、かなりの空腹です。そんな辛酸さんと記者が食堂に入り、出された食事は「にんじんジュース」コップ3杯でした。「えっ、たったこれだけですか!」と2人で顔を見合わせます。 そもそもジュースだけだと飽きそうです。しかし、食堂内には、しょうが汁、レモン、黒ゴマが常備されており、お好みで入れられます。 「様々な組み合わせを試すと、『味変』が楽しめて、意外にジュースだけでもいけます」と辛酸さん。確かに3杯飲み干してみると、見た目より満腹感がありました。
自然や人から受け取るパワーに気づく
断食と聞いて、何も食べないことだと思っていましたが、「普段の食事をにんじんジュースに置き換える」のが、この施設の工夫の一つなのだとか。 また、室内には、体を温めるしょうが湯と、豊富なミネラルを含む種子島産の黒糖が常備され、自由に口にすることができます。 食事の合間には、施設内の天然温泉に入ったり、周辺を散策したりと、思い思いのペースでくつろぎながら過ごします。 石原院長の妻で、施設の代表を務める石原エレナさんとおしゃべりを楽しみました。 「このサナトリウムは、企業経営者の利用が多いです。『断食によって視野が広がり、集中力も高まる』と彼らからも好評です」とエレナさん。常に笑みを絶やさない彼女の人柄に辛酸さんも魅了されたよう。 「人は食べ物だけからエネルギーを吸収しているのではなく、自然や人からもパワーをもらっているのだと実感しました。エレナさんと話しているとポジティブになってきました」と、車中の不安が吹き飛んだような笑顔を浮かべていました。 夜は石原夫妻の三女・美華さんによる約1時間のヨガレッスンを受講しました。 自分の内側に意識を向けて、自身に慰めの言葉をかけたり、両腕をからめるように自身をハグしたりしながら、心を整えていきます。 「体は寺院のようなもの」と言い、体を大切に扱うようにと説く美華さんに心動かされた辛酸さん。「レッスンを通して、自己肯定感が高まりました」とすっきりした表情を浮かべていました。